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2009年11月8日(日)「しんぶん赤旗」

21世紀臨調の国会「改革」提言

民主党色否定するが

小沢氏期待通り/訪英にも同行か


 「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)の「政治改革」検討小委員会が4日に「国会審議活性化」の「緊急提言」を発表。提言について、同会議の佐々木毅共同代表(元東大総長)は「民主党からの諮問に対する『答申』だという誤解がある」「21世紀臨調は民主党系シンクタンクに性格を変えたとか、民主党の下請け機関になったとかいうコメントは、われわれにとって非常に不本意だ」(同日の記者会見)と、“民主党色”をしきりに否定しています。

成立マシーンに

 民主党の小沢一郎幹事長が10月16日に同会議に対し「国会審議の活性化」などを諮問した経緯があるためです。

 しかし、実際はどうか。提言の内容は、今臨時国会中の「国会法改定」を目指す小沢氏が、とくに早期の答申を求めた2項目に積極的に応えたものとなっています。

 その2項目とは、政府参考人制度の廃止で「国会議員同士による審議に改めること」と「行政監視あるいは国政調査」を目的とする「新たな場の設置」です。

 今回の提言は、多くの常任委員会について国会議員だけの討議を原則とする「議案審査会」と、政府官僚も答弁できる「国政調査・行政監視会」とに分けるなど、憲法が保障する国会の国政調査権を「会」の一部の機能に追いやる内容になっています。まさに、小沢氏の期待に応えた「答申」でした。

 国会を「通年国会」に改め、会期中の審議未了の法案は次の国会に「自動延長」するという提案も、悪法を会期末まで審議未了・廃案に追い込むたたかいの手段を徹底的に取り上げるのが狙い。国会を「政府提出法案自動成立マシーン」化するうえで“願ったり、かなったり”の提言です。

本紙に否定せず

 記者会見では、小沢氏が9月に実施した「国会改革」のための訪英調査に21世紀臨調関係者が参加していたのではとの指摘も出ました。佐々木氏は「訪英そのものは民主党の話で、21世紀臨調とはまったく関係ない」と全面否定しました。しかし、同党調査団の報告書に刷られた集合写真には、谷口将紀東大教授とみられる人物が写っており、本紙の問い合わせに本人も否定していません。谷口氏は21世紀臨調の運営委員の1人で、今回の提言を作成した小委員会の5人のうちの1人として明記されています。

 民主党の発表によれば、小沢氏は帰国後間もない10月13日の民主党役員会で、国会法、公職選挙法、政治資金規正法「改正」に向けた検討作業を谷口氏に依頼したと報告しました。谷口氏は、この依頼は「事実ではない」と否定したうえで、「私という存在のせいでこのような誤解を招くなら」と小委員会委員を辞任したと述べています。

 「国会改革」を一部の政党と民間機関ですすめるというのは道理のない話です。21世紀臨調側も会見で「一部の政党だけが国会改革をするというのは、事柄の性質上困難だ」(飯尾潤・同会議主査=政策研究大学院大学副学長)と認めています。調査から提言づくりまで小沢氏と21世紀臨調の“二人三脚”ですすめるのは、国民と国会をないがしろにするものです。(林信誠)



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