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2009年11月7日(土)「しんぶん赤旗」

主張

年末の雇用対策

政府の決断で緊急支援を


 年末まで2カ月を切り、冷え込みが厳しくなってきました。

 大手製造業の「非正規切り」で多くの労働者が仕事と住居を奪われ、首都の真ん中に「派遣村」をつくらざるを得なかった昨年の暮れ―。ことしは、すでに街頭での労働相談に失業者が次々と訪れ、ハローワークには突然解雇された若者らが詰め掛けています。

 9月の完全失業者数は昨年同月より92万人、前月より2万人増えて363万人に達しました。とくに若い世代(15〜24歳)の失業率は、昨年同月より1・4ポイント悪化して9・8%に上っています。

全国延長給付を直ちに

 日本共産党の笠井亮議員が4日の衆院予算委で指摘したように、このまま年末に突入すれば昨年より深刻な事態になりかねません。仕事がないままの失業給付切れの防止、住居を失った人の住宅確保、失業給付を受けられない人や期限が切れた人の生活支援など緊急にとりくむ必要があります。

 45歳未満の失業給付の受給期間は被保険者期間が5年未満なら失業理由に関係なく90日だけです。3月末の雇用保険法改正で給付を60日延長できるようになりました。しかし「非正規切り」に遭った労働者が90日の受給後に60日延長されたとしても、10人の求職に4人分の求人しかない最悪の雇用情勢のもとでは“焼け石に水”です。仕事を見つけられないまま失業給付切れに陥る人が、今後も続出するおそれがあります。

 鳩山内閣は10月に「緊急雇用対策」をとりまとめ、年末までに失業給付が切れる受給者数の把握などを掲げています。これでは不十分なことは明らかです。

 政治の責任は重大です。失業給付の期限切れの問題では、笠井議員が予算委で提起した「全国延長給付」を直ちに発動すべきです。雇用保険法27条は厚労相の判断で全国的に給付日数を延長できると定めています。

 長妻昭厚労相は、政令に定めた発動条件に満たないこと、職業訓練の受講者への給付金制度があることをあげ、「全国延長給付」の発動に消極姿勢を示しました。

 自公政権がつくった「訓練・生活支援給付金」は、使い勝手が悪く認定件数もわずかにとどまっています。政令に規定された「全国延長給付」の発動条件は、施行当初の1975年に定めた高いハードルのまま変わっていません。延長の限度日数(90日)も当初から据え置かれています。政府の決断で政令を改め、数兆円に上る雇用保険の積立金を活用して、「全国延長給付」を直ちに発動するよう求めます。

 住宅確保では笠井議員が要求したように、雇用保険料で建てた「雇用促進住宅」の全廃方針(自公政権の閣議決定)を白紙撤回し、積極活用することです。政府が大企業の「非正規切り」を許さない姿勢に立つことも不可欠です。

人間らしく働ける社会

 失業給付の受給者数は約100万人に急増していますが、完全失業者の3割程度をカバーしているにすぎません。8〜9割をカバーしているフランスやドイツ、4〜5割をカバーしているアメリカ、イギリスなどと比べても、あまりにも遅れています。

 緊急対策とともに、雇用保険をはじめとした社会保障の抜本的な拡充、人間らしく働けるルールの確立に踏み出すことが必要です。



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