2009年10月25日(日)「しんぶん赤旗」
ウルグアイ大統領選・きょう投開票
雇用創出・貧困削減で実績
左派候補リード
【メキシコ市=菅原啓】南米ウルグアイの大統領選挙が25日、投開票されます。5年前の選挙で同国に初めて誕生した左派政権の継続か保守政権の復活かが最大の焦点です。
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大統領選には、社会党、共産党、キリスト教系政党など多様な中道左派勢力が参加する与党「拡大戦線」からムヒカ上院議員(74)が、野党・国民党からラカジェ元大統領(68)が立っています。最新の世論調査によると、ムヒカ候補は支持率45%で、ラカジェ候補に10ポイント以上の大差をつけています。
首都モンテビデオでは21日夜、「拡大戦線」の大集会が開かれました。同戦線の赤、青、白の旗を振る数万人の支持者たちで埋め尽くされた大通りに姿を現したムヒカ候補は、バスケス現政権の継続・発展を訴え、「戦線は歴史的な正当性があるから、勝利する」と強調しました。
バスケス政権は、05年以降4年間で35・4%という安定した経済成長を維持するとともに、人口330万人の国で20万人の雇用を新たに創出し、失業率を13%から7%に引き下げました。貧困層向け対策の結果、貧困率も32%から20%に低下しています。ムヒカ氏の支持率はこれら現政権の豊富な実績に支えられたものとみられています。
ラカジェ氏は、大統領職にあった1990年代前半に、経済開放や規制緩和など市場任せの新自由主義政策を導入しました。失業と貧困の増大を招いたシンボル的な存在だけに、国民の拒否感は強く、それが支持率の伸び悩みに反映しています。
ムヒカ候補の優勢は揺るがないものの、同氏が1回目の投票で当選に必要な過半数の票を得るのは困難とも予想されています。その場合、上位2候補による決選投票が11月29日に実施されます。
ラカジェ陣営はすでに決選投票をにらみ、世論調査で13%の支持をえている別の保守野党、コロラド党との連携をはかろうとしています。また、60年代から70年代にかけて要人誘拐を繰り返した「左翼」武装集団の幹部だったムヒカ氏を「毛沢東主義者」と呼び、あたかも同氏が現在でも武装闘争信奉者であるかのように攻撃する戦略に出ています。
大統領選と同時に行われる国会選挙では、「拡大戦線」が過半数を獲得する勢いです。野党側は、単独過半数は権力の乱用につながるとの批判を強めています。この点でムヒカ陣営は21日の記者会見で、単独過半数獲得にかかわらず、新政権は、教育、環境保護、エネルギーなど主要な問題で野党側とコンセンサスを追求する「国民協定」の締結を提案しました。
「拡大戦線」 ウルグアイ社会党や共産党など20以上の政党が結集する革新統一戦線。1971年2月に結成。2004年の大統領選で勝利し、1825年の独立以来180年続いたコロラド党、国民党の保守二大政党による政権独占を終わらせました。上下両院でも過半数を確保しています。


