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2009年10月22日(木)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄新基地交渉

県民の願いに正面から応えよ


 ゲーツ米国防長官が来日し、岡田克也外相(20日)、鳩山由紀夫首相、北沢俊美防衛相(いずれも21日)と相次いで会談しました。

 ゲーツ長官は、名護市沿岸部に建設予定の米軍新基地を沖合にほんのわずかずらすだけの「微修正」をもちだし、日米合意を早期に履行せよとせまりました。

 県民は新基地建設につよく反対しています。鳩山首相も基地の「県外移設、国外移設がのぞましい」といってきました。政府は結論を先延ばししていますが、県民の願いに応えることこそ重要です。

破たん済みの合意

 撤去が求められていた普天間基地(宜野湾市)にかわって新基地建設を押し付ける米軍基地の県内「たらい回し」は、もともと1996年のSACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意で決められたものです。合意から13年たっても、県民は新基地建設のための杭(くい)一本打たせていません。この事実をみても、SACO合意の破たんは明らかです。

 最近の県民への世論調査(「沖縄タイムス」と「朝日」が5月実施)でも、県内移設に「反対」が68%を占め、「賛成」の18%を大きく上回っています。昨年の県議選で反対派が過半数を占めたのに続き、総選挙で新基地推進の自公議員はいなくなりました。県民の新基地反対のつよさを示すものです。

 自公政権は新基地建設が痛みの「軽減」になるといってきました。しかしこれはごまかしです。新基地は痛みを広げるだけです。

 普天間と同じく米軍機は広範な住民に爆音被害や墜落の恐怖と隣り合わせの生活を押し付けます。新基地では激しい爆音と墜落事故が多い垂直離着陸機オスプレイの配備で住民の危険がさらに増します。絶滅危ぐ種のジュゴンをはじめ、自然環境を破壊するのも目に見えています。県民が新基地に反対するのは当たり前です。

 SACO合意は、アジア・太平洋地域であろうと中東であろうと、米軍が在日米軍基地を使って出撃する96年4月の「日米安保共同宣言」を受けたとりきめです。この合意によって沖縄の基地はイラク戦争などの拠点とされてきました。沖縄戦で言語に絶する体験を味わった県民が、戦争の拠点拡大を許すはずがありません。

 ゲーツ長官はこれまでの合意以上の案はないといいましたが、県民の意思を尊重するなら、基地を「たらい回し」にする米軍再編合意は撤回するしかありません。新基地の建設が実現しなければ米海兵隊のグアム移転も基地の返還もありえないというゲーツ長官の発言は、県民の願いをおどしで封じ込める、容認できないものです。

米軍基地の撤去こそ

 SACO合意は米軍いいなりの自公政権が残した「負の遺産」です。国民が総選挙で自公政権退場の厳しい審判をくだした以上、「負の遺産」は見直されるべきです。鳩山政権が日米軍事同盟を「基軸」として新基地を容認することになれば、県民・国民の願いを裏切ることにしかなりません。

 米軍基地の県内「たらい回し」の日米合意を根本から見直し、無条件に普天間基地を撤去させる立場にたつことが求められています。その実現のために、県民・国民の世論と運動をつよめることがいよいよ重要です。



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