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2009年10月19日(月)「しんぶん赤旗」

ガザの農業 危機に

イスラエル軍攻撃の傷跡


 【カイロ=松本眞志】国連人道問題調整事務所(OCHA)の報道部門「統合地域情報ネットワーク(IRIN)」は15日、パレスチナ・ガザ地区内の農業が危機的状態にあると報じました。昨年12月から今年1月にかけてイスラエル軍が行ったガザ地区攻撃で、建物の破壊や人的被害を受けただけでなく、農業も深刻な打撃を受けました。

 ガザ地区北部のベイトラヒヤで4ヘクタールの野菜農地を営むハティムさんは、「イスラエル軍はブルドーザーでタマネギやニンジンを掘り起こし、その上を戦車で地ならしした。かんがい施設も破壊した」といいます。

 ハティムさんは、復旧に2万7000ドル(約243万円)を必要としていますが、資金調達のめどはたっていません。

 国連環境計画(UNEP)が発表した報告書は、全耕地の17%にあたる1700ヘクタールの土地が損害を受けたとし、復旧費用を1100万ドル(約9億9000万円)と試算しています。

 現地で活動する非政府組織(NGO)は、復旧作業が被害農地の25%にとどまっているとし、背景にイスラエル政府の経済封鎖があると主張しています。

 イスラエル国防省のシュロモ・ドロル報道官は、「規制の対象は爆発物に使用される物質のみ」と説明していますが、実際には生活物資を含む農業資材の搬入も規制されているといいます。

 作付け用の種子や肥料の不足で、農繁期にもかかわらず農産物が収穫できない状態です。

 国連開発計画(UNDP)は、地区内農家1万世帯(6万5500人)のうち、5200世帯が被害を受けたと報告。国連食糧農業機関(FAO)エルサレム事務所のスタッフは、「冬の収穫期はガザ地区農業にとって最も重要」だとし、農産物不足がガザ地区住民150万人のうち3分の2を食料危機の状態に陥れていると訴えています。


 パレスチナ・ガザ地区 面積365平方キロ(東京23区の約6割)、人口約148万人。1967年の第3次中東戦争でヨルダン川西岸とともにイスラエルに占領されましたが、93年のオスロ合意に基づき自治区となりました。イスラエルは2005年に軍を引き揚げたものの、陸海空から封鎖を続けています。



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