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2009年10月16日(金)「しんぶん赤旗」

泡瀬干潟開発

二審も公金差し止め

福岡高裁那覇支部「合理性なし」


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(写真)勝利報告集会で喜ぶ原告団と支援者=15日、那覇市

 沖縄市の泡瀬干潟を埋め立て開発する事業をめぐり、沖縄市民ら516人が知事と沖縄市長に対し事業への公金支出差し止めなどを求めた訴訟の控訴審判決が15日、福岡高裁那覇支部(河邉義典裁判長)で言い渡されました。河邉裁判長は一審判決を支持し、公金支出は違法と判断、調査費や人件費を除く一切の支出を差し止めました。前原誠司沖縄担当相はこれまでに、「控訴審判決を見ながら判断する」としており今後対応が求められます。

 同事業は、国と県が沖縄市泡瀬沖合の約187ヘクタール(第1区域約96ヘクタール、第2区域約91ヘクタール)を埋め立て、ホテルや人工ビーチ、マリーナ、商業施設をつくるもの。中城湾港新港地区の港湾でしゅんせつした土砂の処分が目的の一つです。沖縄市長は1区を工事の進ちょく状況を理由に推進、2区を推進困難としています。一方、前原沖縄担当相は、1区中断、2区中止の方向を示しています。

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 判決は、1区について「土地利用計画の全容が明らかになっていない現段階で、経済的合理性があるとは認められない」としました。2区については沖縄市が土地利用計画を白紙に戻していることを理由に「埋め立て免許等の許可がされる見込みがない」と指摘。国や県、市が「裏付けとなる法律上の根拠が得られる見込みが立っていないのに推進しようとしている」として公金支出差し止めを命じました。

 「勝訴」の垂れ幕が掲げられると那覇支部前は歓喜に包まれました。原告らは16日、政府に「1区、2区の即時中止」、すでに建設された護岸を撤去しサンゴ等の保全をと要請する予定です。


 泡瀬干潟 沖縄本島中部の沖縄市の太平洋に面する干潟。面積は約265ヘクタールあり、南西諸島最大規模。絶滅危惧(きぐ)種のトカゲハゼなどが生息する「生物の宝庫」と言われ、近年も新種とみられる貝などが相次いで発見されています。同市が1988年、干潟を含む約187ヘクタールを埋め立て、リゾート地などにする事業を計画。総事業費は約489億円で、環境影響評価を経て、2002年から国が土砂の投入を開始しましたが、埋め立てに反対する住民らが事業への公金支出差し止めを求め沖縄県知事と沖縄市長を相手に提訴しました。



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