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2009年10月12日(月)「しんぶん赤旗」

「郵政物件」詐欺が多発

「郵便局・宿舎 安く買える」

「政治家秘書」など名乗る


 日本郵政保有の不動産物件を安く売却できると架空取引を持ちかけ、紹介料などを要求する手口の詐欺が全国で多発しています。日本郵政が「かんぽの宿」売却など、国民の財産を切り売りする状況のもとで起きている犯罪です。


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(写真)架空取引に利用された「恵比寿西郵政住宅」=東京都渋谷区

 日本郵政によると、こうした事件は、2007年の旧日本郵政公社民営化をきっかけに増え、相談件数は100件以上にのぼるといいます。

 複数の詐欺グループが存在するとみられ、日本郵政によると、詐欺グループは「私が仲介すれば安く買える」「うちが購入して転売してあげる」などと持ちかけ、コンサルタント料や紹介料名目で、売買代金の1割程度を要求します。

 年金福祉施設の売却をすすめている独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFО)と共同で売却をするなどと持ちかけるケースもあります。

 「神宮前5丁目郵政宿舎」「恵比寿西住宅」「池袋郵便局」「メルパルク京都」などの物件について、「RFОを介して随意契約により購入できる」とだますといい、RFОでも、「まったく虚偽であり、一切関係ない」と注意を喚起しています。

 詐欺の特徴は、政治家の秘書や日本郵政ОB、政治団体を名乗り、「パイプがある。ほかには話さないで」と持ちかけ、裏取引をにおわせることです。

 先月16日には、入札参加料名目で2700万円をだまし取ったとして、東京都新宿区の会社役員の容疑者(61)ら3人が警視庁捜査2課と大塚署に詐欺容疑で逮捕されました。

 その容疑も、「郵政に力のある国会議員がいるので縁故入札できる。1物件あたり300万円のエントリー料が必要」と偽り、杉並区の不動産会社社長(51)から現金を詐取したというものでした。

 会社役員の容疑者は、実体のない「自民党総合政策調査会」の常任理事を名乗りました。最初は交渉場所に参院議員会館を指定し、直前にホテルに変更。売却されなければ返金するという「念書」も作ったといいます。

 警視庁捜査2課は、この会社役員らのグループについて、06年12月から07年10月ごろの間、約20社から計約2億7000万円を詐取した疑いがあるとみています。

 日本郵政は、物件売却は原則として一般競争入札で、「裏取引などありえない。不審な点があれば問い合わせしてほしい」としています。

 日本郵政は一方で、東京都目黒区東山の旧日本郵政公社社宅跡地を、郵便局会社と三井不動産レジデンシャルによる共同事業でマンション建設するなど、国民の財産を切り売りしています。



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