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2009年10月7日(水)「しんぶん赤旗」

主張

米軍機の訓練移転

爆音で生活が破壊されている


 米軍嘉手納基地(沖縄県)のF15戦闘機5機と航空自衛隊百里基地(茨城県)の戦闘機が百里基地で、「訓練移転」と称する日米共同訓練を行っています。

 三沢基地(青森県)のF16戦闘機との過去2回の共同訓練は、いずれも多くの住民に耐えがたい爆音被害を与えました。静かで平穏な暮らしを求める住民が中止を要求したのは当然です。訓練移転は沖縄県民の爆音被害の「軽減」を口実に始まったものですが、沖縄の爆音の「軽減」にはつながらず、訓練移転先でも住民に激しい痛みを与えています。

減らない沖縄の苦しみ

 訓練移転は、2006年5月の米軍再編合意にもとづき、嘉手納、岩国(山口県)、三沢の各米軍基地所属機が、百里基地のほか、千歳(北海道)、三沢、小松(石川県)、築城(福岡県)、新田原(宮崎県)の各航空自衛隊基地に移転して日米共同訓練を行うものです。

 六つの訓練移転先はどこでも自衛隊機の爆音被害で住民が苦しめられているところです。その住民に追い打ちをかけて爆音の痛みを激増させているのが米軍の訓練移転です。各地の住民は07年からくりかえされる訓練移転に強く抗議し、中止を求めています。

 見過ごせないのは、嘉手納基地から本土へ訓練を移転しても、沖縄県民の痛みはすこしも「軽減」されていないことです。自公政府は沖縄県民の基地の痛みを「軽減する」とのふれこみで、米政府との間で訓練移転を決めました。しかしその建前すら守られていないのが実態です。

 嘉手納基地から一部のF15が訓練移転しても、爆音は減らないどころか、逆に増えていることは、日本共産党の赤嶺政賢衆議院議員の質問主意書に対する政府答弁書をみても明らかです。

 たとえば新田原基地での訓練移転です。07年から09年にかけて合計10日間、訓練移転が行われていますが、そのうち7日間は嘉手納基地周辺で騒音回数が平均をはるかに上回っていることを、政府答弁書は示しています。政府が公表した数字でも、訓練移転は県民の痛み軽減につながっていないことが明らかです。訓練移転でも爆音は少しも減らないという県民の実感を裏付けています。

 その原因は、嘉手納基地所属の戦闘機が訓練移転にでかけると、その間他の米軍機がやってきて訓練をくりかえすためです。米国本土から来ていたF22ステルス機や岩国基地の米軍機などもやってきて訓練を行うのですから、爆音が増えるはずです。

 岩国基地でも訓練移転時の騒音回数は、増えています。訓練移転は、結局、米軍機の訓練を強化・拡大する機会を米軍に与えるものとなっていることは明白です。

生活権の侵害許さない

 訓練移転はやめるしかありません。政府は訓練移転の中止にふみきるべきです。再編合意は、訓練移転を、最初は5機程度、期間は1週間程度だが、いずれ12機程度、期間も2週間程度に「発展させる」と明記しています。米軍の思い通りにさせるわけにはいきません。米軍の作戦機能強化のために日本国民が犠牲にされるいわれはありません。

 基地の痛みをなくすには、訓練移転の中止とともに、米軍基地の縮小・撤去が不可欠です。



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