2009年10月3日(土)「しんぶん赤旗」

原爆症認定　静岡訴訟が終結

地裁初の訴え取り下げ

　原爆症認定集団訴訟の全面解決にむけた国と被爆者との合意をうけ､静岡の原告が2日､静岡地裁で訴えを取り下げ終結しました。地裁段階の取り下げによる終結は初めてです。

　静岡訴訟は被爆者の荻沢稔氏＝故人＝の遺族３人が２００４年３月に訴えを起こし、０６年１１月、被爆者の宮�ｱ宗夫氏と河西敏弘氏が追加提訴。国は昨年、新しい認定基準で審査し直し３氏を原爆症と認定しました。

　口頭弁論で宮�ｱ氏は、「原爆投下直後の広島市へ救援に入り、『水をくれ』と言いながら息を引き取った男性の顔を今でも思い出す」と涙声で陳述。熱線で蒸し焼き状態のサバを食べて被ばくし、がんを患って認定申請したものの却下された悔しさを語り、「国は過ちを繰り返さない被爆者救済の行政運営をしてほしい」と訴えました。

　終了後、中川真弁護団事務局長が県内５２人、全国約８千人が認定審査待ちになっている問題の早期解決、被爆者全員救済、核兵器廃絶に努力する旨の声明を発表しました。

　荻沢氏の妻で原告の玲子さんは「今、夫は本当に喜んでいると思います。しかし、申請をためらう人も多くいます。被爆者が安心して暮らせるように運動しなくては」と語りました。