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2009年10月3日(土)「しんぶん赤旗」

沖縄 米軍新基地

環境調査やり直せ

県審査会が知事に答申 建設中止も言及


 沖縄県名護市の辺野古沿岸域に計画されている米軍新基地建設に関して、防衛省が提出した環境影響評価(アセスメント)準備書を審議してきた県環境影響評価審査会(津嘉山正光会長)は2日、仲井真弘多知事に答申しました。答申は59項目、412件について事実上の再調査とともに影響低減ができない場合、事業の中止を含めた検討を求めています。


 審査会は今年6月に知事からの諮問をうけ、8回の審査会と2回の現地調査を実施してきました。

 津嘉山会長は記者団の質問に「事業者の準備書は5000ページと膨大だが、予測、評価など科学的に十分とは言えず、事実上のやり直しと考えている」と述べました。

 答申は、新基地建設予定地が「自然環境の厳正な保護を図る区域であるランク1」(県環境指針)の海域であることを指摘。この立場から「環境影響が極めて大きい」と断定し、沖縄防衛局の「影響は軽微」との見解を退けました。

 答申は、ジュゴンなどに対する複数年調査が実施されないなど知事意見に十分に対応せずに準備書が作成されていると指摘。埋め立てやV字型滑走路などの施設建設による環境影響について「調査結果の解析、取りまとめや予測、評価が不十分」だと批判しています。

 そのうえで「再度、精度の高い予測及び根拠の明確な評価」を求めるなど事実上の再調査を要求。沖縄防衛局が準備書で「事業者により実行可能な範囲内」で回避・低減できるとした評価についても「十分に低減できない場合、事業の中止、立地地点・規模の縮小の変更を含むもの」としています。

 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の真喜志好一さんは「ジュゴンの複数年の調査など、科学的な指摘はたくさんあり、この点については評価できる」としたうえで、手続き問題については兵舎などの建設中止を求めていないなど弱点もあると指摘しています。

県民の総意

 日本共産党沖縄県委員会の古堅宗嘉書記長の話 審査会の「やり直しおよび中止」の答申は、県民総意です。

 県民は日米合意を何度もはね返し、新基地建設反対の立場は四つの政権のもとでも変わらず、12年間、くい1本打たせてきませんでした。新基地建設は撤回しかありません。新政権になって、県民の世論と運動をさらに広げることが大事になっています。


 環境影響評価準備書 新基地建設の事業者である防衛省沖縄防衛局が、環境影響の評価結果をまとめた準備書を、4月に沖縄県環境影響評価審査会に提出しました。準備書は公告・縦覧され、住民などから多数の意見書が提出されました。県知事は13日に、答申などを反映させた意見を防衛省に提出し、同省はこれをもとに最終的な手続きの「評価書」を作成します。



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