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2009年10月1日(木)「しんぶん赤旗」

政党助成金 14年間で4400億円

このムダ遣い いつまで


 政党助成制度が始まった1995年から2008年までの14年間に交付された助成金の総額は4400億円に達したことが08年政党交付金使途報告書でわかりました(グラフ上)。失業率が過去最高に達するなど不況が国民の暮らしを直撃するなか、ムダを削って国民の暮らし応援に回す税金の使い方が求められています。憲法の思想・信条の自由を侵し、最悪のムダづかいでもある助成金の廃止は待ったなしです。


 先の総選挙で民主党は、「ムダ遣いの一掃と生活第一の政治への転換」を掲げ、生活保護の母子加算復活や障害者自立支援法廃止などを打ち出しました。政党助成金の年額319億円があれば障害者自立支援法を廃止することができ、母子加算を復活するだけならお釣りがきます。

政党の腐敗を助長

 「自ら努力しないで獲得できる政治資金があるのは、政党のある種の堕落を招くのではないか」。自民党の与謝野馨前財務相でさえそう懸念を表明せざるを得なかったように、汗をかかずに手にすることができる政党助成金は政党の腐敗・堕落をもたらします。

 各党の08年の助成金依存率は、新党日本の97・5%を筆頭に民主党83・6%、自民党51・4%、社民党51・1%、国民新党30%、公明党18・8%となっています。

 助成金導入が議論された1994年の国会では、導入を求める側からも「5割以上税金で賄うような党は解散すべきだ。3分の1が限度」(自民党・片山虎之助元参院幹事長)との意見が出され、助成額の上限を「前年収入の3分の2」に制限する条項が盛り込まれました(95年廃止)。現在の依存率は、助成金の導入経過に照らしても異常な水準に達しています。

選挙に備え“蓄財”

 08年の助成金の支出額は、438億円と過去最高の支出額となった07年から一転、179億円減の259億円となりました。

 一方、交付された年に使われなかった助成金を基金にため込んだ額は07年の52億円から113億円へと倍増(本部・支部合計)。総選挙に備え、助成金を“蓄財”した形です。

 政党助成法は、政党助成金が余ったり政党が解散したりした場合、総務相が返還を命ずることができると定めています。しかし、これまでに返還されたケースは領収書偽造が問題となった玉沢徳一郎元農水相の1件だけ。額にして250万円にすぎません。

 政党が解散した場合の政党助成金の返納逃れが問題となった今年の通常国会でも、ため込み金については各党とも不問に付す態度を示しました。

選挙CMたれ流し

 「国民が主人公」の政治の実現にも政党助成金の廃止は不可欠です。

 総選挙など大型選挙のない年には支出を抑え、選挙になったらテレビCMなどメディア広告に湯水のように助成金を注ぎ込む構図が常態化しているのです(グラフ下)。07年の参院選では、民主党がテレビCMの広告料などとして広告代理店に90億円支払ったのをはじめ、政党全体で212億円の助成金を「選挙関係費」「宣伝事業費」として支出しました。

 戸別訪問やビラ配布など草の根の選挙運動には厳しい規制をかけながら、巨額の助成金を使ったメディア選挙は野放し。大政党に有利な小選挙区制と相まって、選挙のあり方を大政党優位にゆがめ、引いては日本の民主主義をゆがめることにつながっています。

 民主党は、企業・団体献金の全面禁止と引き換えに「公的助成」のさらなる増額まで主張していますが、総選挙公約の実現には政党助成金の廃止は避けて通れません。

表

表

依存状態の解消を

神戸学院大学教授 上脇博之さん

 政党助成金の依存率は自民党で6割(借入金を除く)、民主党で8割に達します。国民には民営化で痛みを押し付けておきながら、自分たちは国営化している。民主党が、これまでの自公政権のやり方を見直すというのであれば、まずはこうした税金依存の状態を解消すべきです。

 そもそも政党助成金は憲法違反であり廃止すべきですが、それ以前の段階としても、毎年交付されるお金は余ったら返すのが原則です。各政党が自主的に返還しないのであれば、法律で基金は禁止すべきです。

 民主党は「生活が第一」と言っていますが、国民の痛みが分かる政党になるということと、政党助成金の拡充とは全く逆行する話です。さらに税金依存を高めるようでは、国民の痛みが分かる政党にはなれない。衆院の比例定数より政党助成金を削減すべきです。



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