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2009年9月30日(水)「しんぶん赤旗」

炊き出し 伸びる列

「失業給付切れ」直撃

名古屋市中村区 年越し心配


 世界恐慌の引き金となったリーマン・ショックから1年。昨年来の「派遣切り」で仕事と住居を奪われた労働者があふれた愛知県で、失業給付が切れ中小企業の経営危機が深まり、再び雇用と生活の深刻化が始まっています。(田代正則)


 名古屋市の中村区役所前で、昼におにぎりやみそ汁を配る「おにぎりの会」に区役所横の横断歩道の向こうまで、行列が続きます。

 同区役所には、今年はじめ、連日100人を超える相談者が押し寄せていました。1月は市民団体などが炊き出しを行い、2月以降も有志がおにぎりを10〜30個ずつ持ち寄って、ボランティアを続けています。その炊き出しに、今また、並ぶ人が激増しています。

 9月1日に61人、2日に56人だった列は、別団体による近隣の公園での炊き出しで増減があるものの、5連休前日の18日は115人、連休後は24日に112人、25日に120人が並びました。

 おにぎりを受け取った埼玉県出身の男性(29)は、「トヨタ子会社で、昨年12月に派遣を中途解約された」と話します。5月で失業給付が切れ、別の区役所で「若いから働ける」と自立支援センターに入れられました。

 「未経験の介護の仕事もしたが、低賃金で自立できず、うつ病になった」。ボランティアの支援で、改めて生活保護を申請しました。

 みそ汁を配っていた男性(29)は、6月末にパチンコ店の派遣を雇い止めになり、ほかの区役所で保護を申請。施設入所中に炊き出しに並び、支援を受けアパートに入居しました。「自分も少しでも役立ちたい」と炊き出しを手伝っています。

 「若者が手伝ってくれますが、私たちでは、おにぎり1日120個が限界です」。会の中心になっている岩田朝子さん(64)、浩行さん(56)夫婦は、事態の悪化を危ぐしています。

 中村区役所の生活保護を担当する民生子ども課によると、今年はじめに1日平均100件を超えていた相談は、7〜8月に40件台まで下がりましたが、9月は50件へと増加傾向を示しています。

 岩田朝子さんは「ここの職員は良心的に頑張ってくれますが、全国できちんと保護しないと中村区への集中はなくなりません。国の責任で、全国に体制をつくり、派遣法の改正で安定した雇用を保障してほしい」と訴えています。

グラフ


派遣法改正は急務

 愛知県労働組合総連合(愛労連)の榑松(くれまつ)佐一議長は、「3〜4月に失業した人の失業給付が次々と期限切れを迎え、中小企業の倒産で失業する人も増えています。緊急に対策しなければ、また年越しが大変なことになります」と指摘します。

 「大企業は、非正規雇用ではなく、正社員を増やし、下請けの経営を守る責任を果たすべきです。民主党新政権は、これまでの輸出大企業優先を改め、中小企業や労働者の懐をあたためる内需刺激策に転換すべきです。私たちも、派遣法抜本改正を実現するため運動を広げたい」と語りました。



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