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2009年9月28日(月)「しんぶん赤旗」

主張

「核密約」調査

安保条約の闇をあぶりだせ


 外務省は25日、「核密約」をはじめとする日米政府間の密約を調査するチームを発足させました。

 調査は国家行政組織法にもとづく岡田克也外相の命令を受けて行われます。調査の対象は1960年の安保条約改定時の核持ち込みの密約をはじめ、朝鮮半島有事のさいの戦闘作戦行動の密約、72年の沖縄返還時の核持ち込み密約、沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わり密約の4件です。

 日本共産党はこれらの日米間秘密協定を一貫して追及してきました。日米安保条約の闇をあぶりだし、破棄させていくためにも徹底的な調査が求められます。

まぎれもない秘密協定

 調査は「核密約」をはじめとする日米密約の公開・破棄を求める国民の願いにそうものです。

 「核密約」の調査は、総選挙中の党首討論で日本共産党の志位和夫委員長の提案に対して民主党の鳩山由紀夫代表が行った約束をふまえています。日本共産党は、2000年に米国立公文書館で入手した米政府の「核密約」文書を新政権発足直後に鳩山首相と岡田外相に提供し、全容解明のとりくみを強く後押ししています。

 「核密約」は安保条約改定の半年前の59年6月に当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日大使が合意し、条約改定時の60年1月6日に両者が署名したものです。表題は「討論記録」となっていますが、まぎれもない日米両政府間の秘密協定です。

 「討論記録」は、核兵器を積んだ米軍機や米艦船の「日本領海や港湾への立ち入り」は「現行の手続きに影響を与えるものとは解されない」と明記しています。「現行の手続き」とは旧安保条約にもとづくしくみのことです。「影響を与えない」とは、旧安保条約が認めた核兵器自由持ち込みのしくみを変更しないということです。

 「討論記録」は、改定安保条約のもとでも旧安保条約下と同じように、米軍が核兵器を積んで自由に日本を出入りするのを保障する協定文書にほかなりません。日本への核兵器持ち込みを認めるもので、政府が「国是」だと認めてきた「非核三原則」に照らしても絶対に容認できないものです。

 藪中三十二外務事務次官は自公政権時代に、「昔にどういう解釈の違いがあったかと、これはいろいろなその時々の話はあった」「それが『密約』云々(うんぬん)という話ではない」(8月24日)といっています。その外務省が調査に乗り出さなければならなかったのは、国民の世論と新政権の発足がきっかけです。

 政府・外務省がこれまで秘密協定を認めてこなかったのは、秘密協定を結んだ自民党政治の犯罪的行為を覆い隠すためです。外務省は長い間国民をだましてきた責任を自覚し、秘密協定のすべてを包み隠さず公開すべきです。

「非核の日本」実現を

 自民党政府が密約を結んできたのは、日本の主権を侵害し平和と安全を脅かす日米安保条約と一体となったとりきめを国民の目に隠れて実施し、公開されれば予想される国民の批判をかわす狙いからです。破棄するのは当然です。

 とりわけ、「核密約」の破棄は、日本が米国の「核の傘」から離脱し、日本を名実ともに「非核の日本」に変えるうえで不可欠です。それはまた、日米同盟関係の異常をただすためにも必要です。



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