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2009年9月27日(日)「しんぶん赤旗」

全精社協裏金

厚労族自民前議員に数百万円

元次長「20回以上行った」


 厚生労働省所管の社会福祉法人「全国精神障害者社会復帰施設協会」(全精社協、東京)をめぐる横領事件で、逮捕された元事務局次長五月女(そうとめ)定雄容疑者(58)が「裏金のうち数百万円を厚労族の自民党前衆院議員に献金した」と話していたことが26日、分かりました。


 大阪地検特捜部は、福祉施設「ハートピアきつれ川」の買収をめぐり、協会の資金が政治家への工作費用に充てられた疑いがあるとみています。

 捜査関係者などによると、五月女容疑者は2008年2月ごろに2回、協会元幹部(故人)と現幹部ら3人とともに、議員会館の前議員事務所を訪れたとされます。

 五月女容疑者は逮捕前の取材に、この元幹部の指示で協会の口座から50〜100万円を下ろし、元幹部が会館に持参したと証言。「議員会館の玄関で待たされることもあり、主に元幹部が前議員と話した。前議員の事務所には20回以上行ったが、現金を渡すところは直接見ていない」と話しました。

 当時は、全精社協が破産した財団法人からハートピアを買い取る計画が進行中でした。全精社協は同年7月、建設費約20億円のハートピアを格安の4200万円で買収しました。

 献金の理由について五月女容疑者は「ハートピアの買い取りについて頼むためだった」と証言しました。

 前議員は厚生労働副大臣を務め、厚労行政に影響力を持っていたとされます。今年8月の衆院選で落選しました。

 一方、ハートピアの譲渡をめぐっては、厚労省の元障害保健福祉部長(58)で、独立行政法人「福祉医療機構」の理事(ことし7月、郵便不正事件の関連で辞職)に、全精社協側が商品券数十万円分を渡したとの関係者証言もあります。

 買収に先立つ08年6月、舛添要一厚労相(当時)の名前で、機構の理事長に対し「事業継続に特段の配慮」を求める文書を提出。機構が4億5000万円の抵当権を解除しており、関係者は「急に買い取れるかもしれないという話になり、何かの力が働いたと思った」と話しています。

 また、全精社協には08年3月27日に厚労省から交付された「障害者自立支援に関する調査研究費」名目の補助金3130万円(07年分)の不正流用疑惑があり、同特捜部は25日、理事や元理事ら6人から任意で事情聴取しました。

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