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2009年9月22日(火)「しんぶん赤旗」

介護労働者 賃上げ待望

「新政権は対象限定せず底上げを」

共産党が繰り返し要求


 介護労働者の間では労働条件の改善が待ち望まれています。この願いを背景に、鳩山内閣の連立与党3党は政策合意に「介護労働者の待遇改善で人材を確保」と明記しました。民主党はマニフェストで「認定事業者に対する介護報酬を加算し、介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる」としています。

 東京介護福祉労働組合の野村智書記次長は「介護を必要とする高齢者と家族が安心して生活できるよう、介護労働者の離職率を低下させ、職の継続性と専門性を向上させなければならない。そのためには将来にわたって生活できる賃金体系が欠かせない。しっかり取り組むよう新政権に求めたい」と語ります。

「生活苦しい」

 介護保険制度が発足した2000年以来、介護労働者の賃金は低下傾向が続きました。事業所への介護報酬を自公政権が2度引き下げ、サービス利用も抑制したためです。

 介護労働安定センターが08年度に5929事業所から回答を得た介護労働実態調査結果(7月31日発表)では、「仕事のわりに賃金が低い」ことを悩みに挙げた労働者は58%に上り、07年度より約9ポイント増えました。

 東京介護福祉労が4〜5月に実施したアンケート調査でも、組合員53人のうち33人(62%)が「生活状況が苦しい」と回答。「ボーナスが2〜3年前から出ていない」「結婚しても生活していけない」「共働きでも苦しい」など切実な訴えが並びました。

 介護福祉士養成校への入学者数は今年度も大幅に定員を割り込んでいます。

懸念する声も

 日本共産党は介護保険実施直後の2000年9月から繰り返し労働条件の改善を要求。07年12月には「深刻な人材不足を打開するための緊急提言」を発表し、国の責任で賃金アップなどを行うよう求めました。労働条件改善を求める世論が広がる中、各党も公費投入による賃上げを掲げるようになりました。

 自公政権は4月から介護報酬を引き上げましたが3%にとどまり、当初看板にした「給料2万円アップ」には程遠い現状です。09年度補正予算の賃上げ対策も、時限措置のため効果は不十分です。

 一方、民主党の政策で報酬アップの対象が「認定事業所」に限定されていることには、懸念の声も出ています。全日本民主医療機関連合会の林泰則事務局次長は「『認定』されない事業所には賃上げの財源が回らない恐れがある。事業所間の格差を広げるのではなく、全体を底上げする対策が大事だ」と話します。(杉本恒如)



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