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2009年9月15日(火)「しんぶん赤旗」

ドコモ子会社

業務偽装に是正指導

愛知労働局「専門派遣」名ばかり

ドコモ系2例目


 愛知労働局がNTTドコモ子会社のドコモモバイル東海(名古屋市東区)に対し、「専門派遣」を偽って雇い入れ期間制限を偽装したとして、労働者派遣法違反の是正指導と雇用の安定を求める行政指導を行ったことが14日、分かりました。名古屋北部青年ユニオン(全労連・全国一般労組加盟)が発表したもの。NTTドコモ子会社の業務偽装に対する指導が明らかになったのは北海道に次いで2例目。

 同社は、期間制限のない専門派遣(セールスエンジニア)として受け入れた派遣労働者の女性(41)に、実際には専門業務とはかかわりのない電話対応や講習会の講師などを行わせていました。

 女性は2006年1月からドコモグループの派遣労働者になり、07年4月から同社に派遣されました。女性は、契約書の業務に違和感を覚えて「知識もなく、できない」と申し出ましたが、派遣元から「名前だけだから」と言われ、専門派遣とは「名ばかり」であることを認識したまま働かされていましたが、7月末に突然雇い止めされました。

 女性は8月1日に同ユニオンに相談して組合加入。4日に労働局に、業務を偽装し3年の雇い入れ期間制限を免れようとした派遣法違反として、直接雇用を求める申告をしました。女性が今月10日に労働局に問い合わせし、是正指導をしたことが分かりました。しかし同社は、労働局によると、派遣法違反を認めながら、「部署がなくなった」との理由で雇い入れを拒否しています。

 同ユニオンは「同社は自らの派遣法違反に誠実に向き合い、企業としての雇用責任を果たすべきだ」と訴えています。

 女性は「業務偽装されている多くの派遣労働者が、そのことを知りません。誤った情報に惑わされず、自分の身を守る術があることを知ってほしい」と話しています。


解説

専門業務の規制強化を

 現在、26の専門業務で働く労働者は約91万人。派遣労働者(常用換算)の半数を超えています。2003年の派遣法改悪で、製造業に派遣が解禁されたのと併せて、専門26業務について最長3年の派遣可能制限が廃止され、急増しました。

 しかし、実際には、専門業務でもないのに専門業務だと偽る「業務偽装」によって、期間制限を超えて労働者を働かせるケースがあとをたちません。

 2月には派遣大手のアデコが業務偽装を繰り返していたとして東京労働局が改善命令。NTT、日産、東芝など名だたる大企業が労働局から是正指導を受けており、日産自動車に対しては、JMIU(全日本金属情報機器労組)や首都圏青年ユニオンの組合員が正社員化を求めて裁判などを起こしています。

 専門業務とはいえない一般業務をさせていたり、専門業務とそれ以外の一般業務にも従事させて、大半は一般業務など現行法令にも反する内容です。

 専門業務とは、専門的知識や技術などを必要とする業務と定められており、一般庶務は該当しません。書類整理など専門業務に伴う付随的業務であっても、1日または1週間で労働時間の1割を超えてはならないと定められています。

 これに反している場合は、期間制限のある業務に従事しているとみなし、期間制限を超えていれば、派遣先企業には直接雇用を申し込む義務が生じます。

 現行法令を厳しく守らせるとともに、専門業務に対する期間制限を復活させ、26まで拡大された専門業務の見直しが求められます。日本共産党は派遣労働は専門業務に厳しく限定し、原則1年とすることを主張しています。1985年の派遣法制定時は13業務でしたが、96年に26業務に拡大。事務用機器操作など今日では専門業務とは必ずしも呼べない実態が広がっており、抜本的見直しが必要です。(深山直人)



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