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2009年9月14日(月)「しんぶん赤旗」

主張

温室ガス削減目標

財界は社会的責任を果たせ


 地球環境の悪化に懸念が高まり、日本も温室効果ガスの排出を抑えた「低炭素社会」をめざすべきだとの世論が強まっています。

 民主党の鳩山由紀夫代表は2020年までの中期目標として、温室効果ガスの排出量を1990年比で25%削減すると打ち出しました。日本共産党の志位和夫委員長は鳩山氏の提唱を歓迎し、協力を惜しまないことを表明しました。

 ところが、財界からは鳩山氏の提唱に対し、負担が大きいなどと異を唱える声が出ています。こうした抵抗は国民世論にも世界の流れにも反するものです。

否定された「財界主導」

 麻生太郎首相が設定した「8%削減」の目標は、いまの産業構造を前提にして、財界が「できる」という対策を積み上げたものでした。先進国の目安とされる「25〜40%削減」にまったく見合わず、国際交渉に逆行すると内外から強い批判を浴びました。これに対し、「25%減」は交渉に弾みをつけるものと国際的にも評価されています。

 歴史的な総選挙で、財界中心の自公政治は国民の厳しい批判を浴びました。温暖化問題でいえば、財界主導の「対策」は否定されたのです。大企業のいうがままでは地球環境の悪化を食い止めることはできません。財界は、国民の審判で財界中心の政治が否定されたことを肝に銘じ、排出削減の社会的責任を果たすべきです。

 日本で排出される温室効果ガスの圧倒的大部分は、大企業によるものです。その責任を棚上げする姿勢は許されません。

 排出削減の強化は国民に耐え難いコスト高になるとの見方には問題があります。麻生政権が出した排出削減のコスト試算は、試算の条件設定にコスト高を強調する政治的な色がついています。新たな政治環境のもとで議論をやり直す必要があります。

 温暖化対策は景気に逆行するとの主張があります。しかし経済成長のあり方を考え直すことこそが必要です。化石燃料を大量消費する従来型の成長はもはや不可能です。自然エネルギーの大幅活用をはじめ従来モデルに代わる成長をめざすべきです。省エネ産業で雇用が拡大するなど、「低炭素社会」でも経済成長は可能です。

 大企業経営者のなかには、「25%削減」にするなら生産拠点を規制の緩い外国に移さなければならないとの声もあります。地球環境という国境を超えた問題に直面しながら、外国に行けば排出規制から逃れられるという発想自体、まったく時代遅れです。

 大量排出を続けたあげく自然災害の激増などでふりかかるコストは、経済構造の転換にかかるコストに比べ格段に大きいと見られています。対策は早く進めたほうが総体のコストは小さいのです。「低炭素社会」への移行は次の世代、人類の未来がかかった課題であり、避けて通れません。

「もうけ第一」との決別

 大企業に問われているのは、「利潤第一主義」と決別し「社会的責任」を果たす立場へと、そのあり方を足元から見直すことです。大企業が「もうけが第一」と言い張るなら、社会も地球環境も企業自体も生き残れないところにきています。新たな政治の力と国民の運動で財界の姿勢を変えさせなければなりません。



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