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2009年8月31日(月)「しんぶん赤旗」

米原潜

核配備体制 続ける

今年 日本寄港38回

日米密約 今も作用


 米海軍の原子力潜水艦の日本寄港が今年に入り38回に上っていることが、寄港地を抱える自治体の集計で分かりました(27日現在)。過去2番目の多さだった昨年同期比で3減ですが、同年9月に原子力空母ジョージ・ワシントンが配備された神奈川県・横須賀基地が10回と倍増しているのが大きな特徴です。そのほか沖縄県のホワイトビーチは21回(同6減)、長崎県の佐世保基地は7回(同2減)となっています。(いずれも米海軍基地)

重点配備

 米国防総省は2006年の「4年ごとの国防政策見直し」(QDR)で、太平洋地域に米海軍潜水艦の60%を重点配備することを決定しています。その一環として7月に横須賀に寄港したアルバカーキが8月、大西洋艦隊から太平洋艦隊に所属を変更。今年、日本に寄港をくり返しているシーウルフやハンプトンも07年に、大西洋艦隊から太平洋艦隊に所属を変えた原潜です。

 米軍は、ロサンゼルス級攻撃型原潜などの一部に、必要と判断した場合には、核弾頭付き巡航ミサイル・トマホークを搭載し、核攻撃態勢をとる方針を続けています。これらの原潜がひそかに核兵器を積んで日本に寄港している疑惑が存在しています。

使用可能

 米国の核兵器専門家ハンス・クリステンセン氏らによると、米海軍は巡航ミサイル・トマホーク用の核弾頭(W80)約100発をいつでも使用できる状態で、米本土2カ所(西海岸ワシントン州バンゴールと東海岸ジョージア州キングズ・ベイ)の核弾薬庫に貯蔵。決定から30日以内に海上配備できるようにしているといいます。

 米海軍は核弾頭を付けた巡航ミサイル・トマホークの配備をやめるよう提案したことがあります。しかし、米国防総省は03年、この提案を却下し、「有事」での核配備体制を続けるという決定(非公表)を行ったとされています。

 今年5月初め、米議会から委託されて調査・研究を行ってきた「米国の戦略態勢に関する議会委員会」が最終報告を発表しました。同報告は「アジアにおいて拡大抑止は、若干のロサンゼルス級攻撃型潜水艦の核巡航ミサイル=トマホーク陸地攻撃核ミサイル(TLAM/N)の配備に大きく依存している」と述べています。

 元外務事務次官4人の証言で改めて裏づけられた、日本への核兵器持ち込みの日米密約は、今も生きて作用している重大問題です。

 太平洋地域に配備されている攻撃型原潜のうち約10隻が核攻撃能力の「認証」を受け、日本に寄港していた事実もすでに明らかになっています。(02年)

 ホワイトビーチを抱える、うるま市議会は6月2日、「非核三原則を踏まえ」て「すべての原子力軍艦を寄港させないよう」求める意見書・決議を上げています。今、原潜寄港反対、日米核密約の公開・廃棄の世論と運動を広げていくことが必要です。


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