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2009年8月29日(土)「しんぶん赤旗」

離散家族再会 来月から

2年ぶり 李政権では初

南北赤十字会談で合意


 韓国と北朝鮮による南北赤十字会談は28日、北朝鮮の金剛山で全体会合が開かれ、南北離散家族の再会事業を9月26日〜10月1日に実施するとした合意文を発表しました。再会事業は2007年10月以来で、約2年ぶり。李明博(イ・ミョンバク)政権下では初めてです。


 合意文は、「離散家族問題などの人道問題を南北関係発展の見地から引き続き協議していく」としています。

 面会する家族は南北から各100人ずつ。面会場所は、昨年7月に完成した金剛山離散家族面会所と金剛山ホテルに決まりました。

 韓国側は、北朝鮮による韓国人拉致被害者や、朝鮮戦争(1950〜53年)で捕虜になった韓国軍兵士の問題を盛り込むよう提案しました。北朝鮮側は食糧支援などを要請したといいます。

 これらの問題では合意に至らず、明文化は見送られました。

 韓国統一省スポークスマンは記者会見で、拉致被害者と捕虜問題について、「今後、北朝鮮側と粘り強く協議していく」と述べました。

 離散家族の再会は、韓国財閥・現代グループの玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)会長が北朝鮮側と交わした17日の合意文書で、「秋夕」(10月3日、旧盆に相当)に金剛山で行うことが盛り込まれていました。


解説

「南北」超える意味持つ

 韓国と北朝鮮が28日に合意した離散家族再会事業は、2000年の南北首脳会談後に実施されてきた代表的な南北協力事業の一つです。今回の南北赤十字間の対話は、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の再開に向けて、米国、中国、韓国が連携しながら北朝鮮との接触を進めている中で実現したものです。その点で、単なる南北間の人道問題という枠を超えた意味を持っています。

 米国務省のケリー報道官は26日、「米政府は離散家族再会の努力を積極的に支持する」と述べるとともに、「より一般的な観点からも、われわれは南北対話を望んでいる」と強調。人道問題にとどまらない対話の前進に期待を示しました。

 米韓両国はこれまで、北朝鮮との関係改善や経済支援のためには核放棄に向けた進展が前提だ、との立場を繰り返し表明しています。

 一方の北朝鮮は、南北経済協力事業を手がける現代グループとの間で合意した17日の共同文書で、経済協力と離散家族の再会をセットにして「南北関係の改善」と「民族共同の繁栄のための協力事業」と位置付けました。核問題を切り離して南北協力を進めようという立場です。

 しかし、核実験後の国連安保理の制裁決議に見られるように、北朝鮮が国際社会と正常な関係を持つためには、核放棄に向けた具体的な行動が必要だというのが、国際社会の一致した立場です。

 統一研究院(韓国統一省所属)は最近の報告書で、「対話を通じた核問題の解決と南北関係の発展という大枠の原則を明確にしながら、柔軟性を持って北朝鮮に対応すること」が重要だと指摘、「南北対話と米韓関係、米朝関係が互いに調和を取りながら発展していく構造をつくりだす必要がある」と提言しています。(面川誠)



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