文字の大きさ : [] [] []

2009年8月21日(金)「しんぶん赤旗」

米兵の免責特権 議論

コロンビアでの軍事基地使用協定

犯罪、不平等に警戒


 米国とコロンビアが今月中にも署名するとされる「防衛協力協定」をめぐり、駐留米兵の免責特権を認めるのかどうかがコロンビア国内で議論になっています。米兵犯罪を懸念するコロンビア国内の世論や米軍駐留そのものに反発する周辺諸国の動きを受けて、米国とコロンビアの両政府は説明に追われています。(島田峰隆)


 米政府とコロンビア政府は14日、同協定に暫定合意したと発表。協定の詳細は明らかにされておらず、担当者が最終的な署名に向けて調整中といいます。

 米国務省によると、合意は▽米軍はコロンビア国内の七つの基地を使用▽基地での米軍の全活動にコロンビア政府の事前承認を得る▽コロンビア国会が設けた駐留人数の上限(米兵800人、業者600人)を尊重する―ことなどが概要です。

 クリントン国務長官は18日、「領土保全と主権を極めて明確に認識した2国間合意だ」「近い将来署名できることを希望する」と語りました。

識者から批判も

 しかし、これまで麻薬対策を口実に駐留する米兵の暴行事件を経験してきたコロンビア側では、協定に対し強い不信と警戒感が広がっています。特に罪を犯した米兵の免責特権を今後も認めるのかどうかが、議論の焦点になっています。

 報道によると、識者からは「免責特権は一切正当化できない。コロンビア兵士との平等の原則に違反する」「免責特権は、結局は刑罰の免除となる」といった批判が出ています。

 こうした声を前に、コロンビア政府も、「協定には前例のないことが含まれる」と国民に釈明し始めています。それによると、新協定には、▽コロンビア国内には米国の軍事法廷を置かない▽(事件が起きたら)コロンビア側が米国より先に捜査できる▽業者には免責特権を認めない―ことが含まれるといいます。

南米諸国は反対

 南米12カ国でつくる南米諸国連合(UNASUR)は28日に開く緊急首脳会議で同協定について意見交換します。南米諸国は軒並み協定に反対しています。ブラジルやアルゼンチンは、首脳会議に米政府代表を招待することを提案していますが、米国はまだ態度を明らかにしていません。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp