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2009年8月19日(水)「しんぶん赤旗」

あすアフガン大統領選

国の安定に影落とす

米英軍事作戦、タリバン暴力…


 アフガニスタンの大統領選挙が20日に行われます。選挙を前に米英軍が7月以来、軍事作戦を強化する一方、反政府武装勢力タリバンが武力攻撃を強め投票所への攻撃を公言するなど、選挙の行方と同国の安定に影を落としています。(伴安弘)


地図

 米軍空爆による2001年のタリバン政権崩壊後2度目の大統領選挙は、国連との共同管理による前回と違い、初めてアフガン独立選挙委員会の管理の下で行われます。

汚職や腐敗

 04年の前回選挙ではカルザイ現大統領が55%の得票で当選しました。しかし、今回は、米国の世論調査機関によると、カルザイ氏支持は44%。過半数の票が得られない場合、第2回投票にもちこまれます。26%で2位につけているアブドラ前外相が浮上する可能性もあります。

 カルザイ氏の“苦戦”の背景には、昨年以来のタリバンの復活と、カルザイ政権の軍閥優遇、汚職・腐敗政治にたいする民意離れがあると指摘されています。

 対立候補のガニ氏は、カルザイ氏が「200人以上に閣僚ポストを約束するなど、選挙に勝つため政府を競売にかけている」と非難しています。(米誌『ニューズウィーク』)

 カルザイ政権の下で、首都カブールは外国からの援助と「麻薬マネー」で活況を呈している一方、広大な農村との格差が拡大していると指摘されています。

治安は最悪

 治安の悪化はタリバン政権崩壊以来最悪といわれる状況です。国連アフガニスタン支援派遣団(UNAMA)の2月の発表によると、武力紛争での昨年の民間人の死者は前年比約40%増の2118人。今年も上半期で1013人に達しています。

 1月に発足したオバマ米政権はアフガンへの対応で、ブッシュ前政権のような武力一辺倒ではなく、軍事力と援助を組み合わせたものにするという政策を打ち出しています。

 しかし、「対テロ戦争」の実質に変化はみられません。オバマ政権が表明した3万人の増派部隊はすでにアフガン入りし、米軍は総計6万2千人(外国軍総計では10万人)に達しています。

 米英軍は先月初めからタリバンが支配しているアフガン南部で大規模作戦を展開。こうした中で、外国軍兵士の今年3月以来の死者数は225人で、01〜04年の死者数の総計197人を上回る事態となっています。

 一方タリバンは、暴力的選挙妨害をもくろみ、投票所と投票に行く人への攻撃を宣言。「外国軍が撤退しない限り、たたかいをやめない」として、和平にも応じない姿勢です。


 アフガニスタン大統領選挙 大統領の任期は5年。今回は登録者41人のなかから、女性2人を含む36人が立候補適格とされました。現職のカルザイ氏のほか、アブドラ前外相、ガニ元財務相、ドスト元計画相らが立っています。有権者は約1500万人(人口は約3300万人)。州議会選挙も同時に行われます。


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