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2009年8月5日(水)「しんぶん赤旗」

クリントン元米大統領訪朝

米朝、対話再開探る

金・「6カ国」首席代表ら出迎え


 4日に北朝鮮を電撃訪問したクリントン元米大統領が、金正日(キム・ジョンイル)総書記と会談し、「広範な問題で意見交換」しました。平壌の空港では、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の首席代表、金桂冠(キム・ゲグァン)外務次官が出迎えました。米人記者釈放問題を理由とした訪朝が、核問題で対立する米朝の対話再開につながるとの見方が強まっています。(面川誠)


 米朝の公式対話は、昨年12月に、核放棄の検証をめざす対立で6カ国協議が中断してから途絶えています。北朝鮮は4月の長距離ロケット発射に続いて、5月に2回目の核実験を強行し、国際社会への挑発行為を続けました。しかし7月の弾道ミサイル発射以後は強硬な態度を控えていました。

 1月に発足したオバマ政権は、ブッシュ政権と同様に「6カ国協議内での米朝対話は可能」という立場。一方の北朝鮮は6カ国協議への復帰を拒否し続けています。

 こう着状態を打開するために、クリントン米国務長官は7月の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)で、北朝鮮に新たな「包括的措置(パッケージ)」構想を提案しました。

 提案の内容は▽北朝鮮の核開発放棄▽米朝などの国交正常化▽休戦協定の平和協定への転換―などを一括して解決する新たな合意をめざすもの。細かな段階設定をした6カ国協議の合意履行ではなく、新たな履行方式の提案です。

 さらに、オバマ政権が「核兵器のない世界」を米国の明確な国家目標に掲げているという点で、対話の前提が過去とは大きく違います。

 北朝鮮は米国の核先制攻撃戦略などを理由に「北朝鮮への敵視政策」を問題視し、核兵器開発を正当化してきました。しかし、米国が核兵器廃絶を明確な国家目標に据えた以上、北朝鮮がこれまで同様の主張を繰り返す根拠は弱化せざるを得ません。

 韓国・外交安保研究院(外交通商省付属)の尹徳敏(ユン・ドンミン)教授はロイター通信に、「『包括的措置』などについて、金正日(キム・ジョンイル)総書記がクリントン元大統領に対してどのような話をするかによって、こう着状態を劇的に反転させる機会になり得る」と語っています。



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