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2009年8月4日(火)「しんぶん赤旗」

自公政権「核の傘」強化論

米の政策転換を妨害

米文書で判明


 オバマ大統領が「核兵器のない世界」の追求を国家目標にすると初めて宣言した米国で核固執勢力が巻き返しを強めるなか、「核の傘」「拡大抑止」(核などの抑止力の提供)の強化を米国に求める日本の自公政権などの主張が、核固執の絶好の口実を提供し、米国の政策転換を妨げる有害な役割を果たしていることが米側文書などで分かりました。

 「核のない世界」を掲げたオバマ大統領の4月のプラハ演説に対し、日本政府は、唯一の被爆国として積極的に対応するどころか、「我が国にとっては日米安全保障体制の下における核抑止力を含む拡大抑止が重要であることは言うまでもない」(中曽根弘文外相の4月27日の演説)とし、核の傘の強化と、この問題での協議を米側に求めてきました。

 米国は現在、核戦略の基本文書である「核態勢見直し」(NPR)報告を年内に作成する作業を進めています。それに大きな影響を及ぼすとみられる「米戦略態勢に関する議会委員会」(委員長・ペリー元国防長官)の最終報告(5月発表)には、日本側の要求を受ける形で、次のような記述があります。

 「ある特別に重要な同盟国が当委員会に内密に主張してきたのは、米国の拡大抑止の信頼性が、広範な標的を危険にさらす特定の能力に依拠しているということだ」

 その「特定の能力」に関して同報告は、一部の攻撃型原子力潜水艦に搭載され2013年退役予定のトマホーク地上攻撃核ミサイル(TLAM/N)を挙げています。報告は「アジアでの拡大抑止は同ミサイル配備に大きく依拠している」と明記。同ミサイル搭載可能な攻撃型原潜は日本への寄港を繰り返しています。

 報告は「アジアの一部同盟諸国はTLAM/N退役に深い懸念を抱くであろうことが、委員会の作業で判明した」とし、日本側がその延命を望んでいると示唆。「米国防衛に不可欠でない核兵器でも米国は保持する義務がある」と述べています。

 同委員会は12人からなり、シュレジンジャー元国防長官(副委員長)や、ブッシュ前政権の核使用政策策定に大きな影響を与えたキース・ペイン元国防副次官補らの核固執派も参加。報告作成に際して協議した外国高官のリストのトップに、在米日本大使館4氏の名前が挙げられています。



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