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2009年8月3日(月)「しんぶん赤旗」

総選挙 自公政権終わらせ 日本に新しい政治を

テレビ討論 小池政策委員長の発言


 日本共産党の小池晃政策委員長は2日、NHK「日曜討論」、フジテレビ系「新報道2001」、テレビ朝日系「サンデープロジェクト」の各党討論に出席し、総選挙で何を訴えるのか―選挙政策について各党代表と討論しました。


「ルールある経済社会」と9条掲げ、核ない世界を実現

 「日本の国の姿、形をどうするのか」を問われ、小池氏は次のように発言しました。

 小池 自民党、公明党の政治を終わらせて新しい政治をつくる選挙です。「二つの旗印」を掲げていきたい。

 一つは、国民の暮らし、雇用、当たり前の権利を守る「ルールある経済社会」をつくっていく。具体的には、労働者派遣法の抜本改正で、正社員が当たり前の社会をつくる。世界でも異常な医療費の3割負担をやめさせてゼロをめざし、まずは子どもと高齢者からその第一歩をつくる。お金がなくても学校に行ける、世界で当たり前の授業料ゼロを実現していく。そして、消費税増税に頼らずに、大企業や大資産家に応分の負担を求める政治にしていきたい。

 もう一つの旗印が、オバマ米大統領が核廃絶を言い出したときですから、憲法9条を掲げて「非核の日本」と核兵器のない世界をつくっていくことなどを世界に呼びかけていく。どんな国の言いなりにもならない自主的な立場の平和外交を行う日本にしていきたいと思います。

高速道路無料化

教育・福祉が最優先

 民主党がマニフェスト(政権公約)に掲げる「高速道路の無料化」について議論が交わされました。「高速道路無料化より国民の暮らし、福祉、教育に税金を使うべきだ」。小池氏はこう強調し、日本共産党の見解を示しました。

 小池 くらしが大変で財政が厳しい時の税金の使い方の優先順位の問題だ。今、このような情勢のもとでは、(無料化にかかる)1兆3000億円は、国民の暮らしを直接応援する教育、福祉に使うべきだ。

 例えば、高齢者の医療費と子どもの医療費の無料化は1兆3000億円あればできます。

 「改革を後戻りさせることになる」という観点から「高速道路無料化」に反対する自民党の林芳正政調会長特別補佐。ガソリン税などの暫定税率をどうするかについて、民主党の直嶋正行政調会長は「当然廃止すべきだ」と強調しました。これに対し小池氏は次のように述べました。

 小池 上乗せ分は道路を作り続けるための仕組みですから、これは廃止するのが当然だ。同時に、地球温暖化対策を考えなければいけない。私たちは、(エネルギー課税については)環境税に転換していくべきだと考えている。ですから、選挙政策では、暫定税率を下げるとは訴えていない。

子育て支援

総合的な対策を推進

 「子育て支援」について、「民主・社民は子ども手当の創設、自民・公明は幼児教育の無償化、共産・公明は児童手当拡充」などと、各党の政策が紹介されました。小池氏は次のように発言しました。

 小池 私たちの政策は、それだけではありません。子育て支援というのは経済的な支援だけでなく、総合的な対策でなければいけないと思うんですね。

 仕事と子育てを両立するための長時間労働の是正は徹底的にやらないといけない。保育の問題では、政府の試算でも潜在的待機児童を含めると100万人以上いるわけで、この解決を全力でやらないといけない。子どもの医療費の無料化は、地域格差がありますから、国の制度でやろうと提案しています。

 それから、高校の授業料の負担も重い。お金のあるなしで学校に行けるかどうか、学べるかどうか、こんなにひどいことはありません。世界のどの国も中等・高等教育無償化の方向を進んでいるわけですから、高校の授業料を無償化する。

 児童・子ども手当の財源を税の控除廃止に求めてしまうと、負担が増えてしまう人も出てきますので、私たちはそういう立場はとりません。手当の額をとりあえず1万円にそろえ、18歳まで拡大していくのがいいのではないか。

 そういった全面的な総合的な対策をやっていかないと、この問題は解決しないと思います。

“学校に行けない”国のあり方の問題

 自民党の林芳正政調会長特別補佐は、民主党の財源論について「配偶者控除・扶養控除を廃止しても1兆4千億円だ。5兆5千億円の政策をやると言うのなら、財源の明示を」と述べました。小池氏は次のように発言しました。

 小池 私たちは「控除をなくして手当へ」という抱き合わせの立場はとりませんが、与党が「財源」のことをいうのは無責任だと思います。

 子育てに対する(国の)お金の使い方は、OECD(経済協力開発機構)のなかで最低レベルじゃないですか。教育費だって最低ですよ。

 これは財源の問題ではないと思いますよ。この国のあり方の問題ですよ。お金がなかったらまともに生きていけない、お金がなかったら学校に行けない。こういう国を、このままにしておいていいのかが問われています。だったら財源は、必死になって税金の無駄遣いをただす、あるいは大企業や大資産家に負担を求めるという必死の努力をすべきですよ。これをやらずに批判する資格はない。

高校授業料無償化は世界の流れ

 これを受け、林氏は「経済には家計と企業と政府の三つがあるが、企業の視点がないんじゃないか」などと述べました。さらに、「自民・公明は低所得者を支援していくという立場だ。無償化など、全員に一律に配るのは丁寧さがない」と、「ばらまき」批判を展開しました。

 小池氏は次のように反論しました。

 小池 授業料無償化は、ばらまきではありません。憲法は、等しく教育を受ける権利を保障しています。教育基本法では、「すべて国民は経済的地位によって教育上差別されない」となっている。ですから、無償化という方向に向かって進むべきだと思う。

 高校・大学教育の無償化は国連の条約にもあるわけで、この条項を留保しているのは日本とマダガスカルの2カ国だけなんですよ。世界は、中等・高等教育は無償化だという方向に進んでいるのだから、政策目標として掲げることは、ばらまきでも何でもありません。

 この指摘に、与党側も「言われたことは、だれも否定しない」(公明・山口那津男政調会長)と述べざるを得ませんでした。

最低賃金

時給あげ 1000円以上に

 最低賃金の改定目安を協議する中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が7月29日、35県の最低賃金改定を見送ると答申したことについて議論になりました。小池氏は「最低賃金を時給1000円以上に引き上げる」とした日本共産党の政策について語りました。

 小池 1000円というのは、平均的労働者の5割の賃金です。欧米ではここを目標にし、すでに達成しているわけで、日本でも当然やるべきです。

 一方、中小企業の経営も大変だ。最低賃金の引き上げは、大企業による下請けいじめをやめさせる、中小企業に対する支援策をとるなど、中小企業を応援する政治と同時並行でやるべきだ。

 自民党はマニフェストで「10年で家計の手取りを100万円増やす」と主張しています。

 「100万円増やすということは時給にすると500円以上引き上げることになる。それなのに、時給1000円はだめだと、こんな矛盾した政策はない」と追及する小池氏。自民党の林氏は答えに窮し、「10年間という期間を示している」としか答えられませんでした。

 「経済成長を約束している」(林氏)、「経済成長戦略が大事だ」(公明党・山口氏)と述べる両氏。結局、大企業の成長頼りの考えしか示せませんでした。これに対し小池氏は次のように述べました。

 小池 低賃金の底上げが消費に結びつき、その消費は中小企業に一番恩恵をもたらす。1000円に上げると2兆6000億円の経済効果がある。これこそ成長戦略だ。自民党は、10年後に100万円手取りを増やすといいながら、最低賃金をいくらにするのか何もいわない。政権党がこんなことも示せないなんて無責任だ。

「天下り」根絶

法律で禁止すればいい

 「天下り根絶」について、自民党の石原伸晃幹事長代理は「どう透明性を高め、監視を強めていくかがポイント」などと発言しました。司会者から、公明党は連立10年で天下り禁止について「何もやっていない」と批判され、山口政調会長は「これからやる」と言い訳。小池氏は次のように述べました。

 小池 自民党のマニフェストには「天下り根絶」とあるけれど、やることとして具体的に書いてあることは、「(官僚が)定年まで勤務できる制度を整備する」ということなんですよ。これができないと天下りが禁止できないと。

 あっせんを禁止するというけど、例えば今、国土交通省の事務次官が駆け込みで住宅金融支援機構に天下りをした。国土交通省はあっせんしていないといっているけど、建設省や国土庁の代から次官が5代続けて天下りしている。あっせんしなくたって自動的にポストが決まっている。あっせんを禁止しても天下りはなくならない。まず、法律で天下りを禁止すればいいんです。

 天下りは税金の無駄遣いで、官僚を死ぬまで管理する仕組みになっている。徹底的に役所が役人の人生全部を管理し、言うことを聞かせる仕組みですよ。同時に天下り先の利益追求の政治に、政治の中身をゆがめている。国民にとって大変なマイナスだ。 

地方分権

財政的にしっかり保障

 道州制を含めた地方分権が議題になり、自民党の石原氏は「2017年度までに道州制を導入する」、民主党の長妻昭政調会長代理は、「道州制にもっていく流れになる。それを推進する」と発言。小池氏は次のように述べました。

 小池 自民党のやろうとしている道州制は地方分権でもなんでもない。上からの押し付け、ようするに広域化することによって広域規模の大開発をやれるようにする、国の支配をより強めるために地方自治体をまとめていくというのが、自民党のやろうとしている道州制ですよ。

 本当の地方分権は、くらしとか福祉を応援する、市町村がそういった仕事を十分にできるように財政的にしっかり保障することです。

「100万円増」に疑問集中

“家庭の手取り奪った自民政治”

小池氏 「消費税増税では実現無理」

 2日に放送されたフジテレビ系「新報道2001」では、自民党がマニフェスト(政権公約)で掲げた、「10年で家庭の手取りを100万円増やす」政策について疑問が集中しました。

 「ほんとに素朴な疑問で、どういうふうにするのか」と疑問を呈した司会の女性に対し、自民党の石原伸晃幹事長代理は、バブル経済の崩壊後の「失われた10年」で「可処分所得が100万円程度減ってしまった」と説明。自動車、環境分野などでの成長と女性の社会進出と70歳以上の高齢者の就労支援で「2020年に一家庭で100万円増えるという計算になった」と述べました。

 これに対して日本共産党の小池晃政策委員長は、「100万円所得が減った原因は何か」と述べ、社会保障の負担増や庶民増税によって国民から可処分所得を奪ったのは「自民党政治だ」と指摘。「しかもこれから消費税の増税という。どうして可処分所得が100万円も増えるのか」と批判しました。



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