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2009年8月1日(土)「しんぶん赤旗」

イラク参戦

英前首相に証言要求

独立調査委 攻撃の合法性検証へ


 英国のイラク参戦をめぐる問題点について包括的調査を行う独立調査委員会のチルコット委員長(元北アイルランド省事務次官)は30日、記者会見し、ブレア前首相に証言を求める考えを明らかにしました。ロイター通信が伝えました。

 同調査委員会は、ブラウン英首相が6月に設置を発表。開戦前の2001年夏から今年7月末までの8年間を対象に、参戦に至った経緯や軍事攻撃の合法性などについて、関係者の証言を踏まえて調べます。

 チルコット氏は、すでに政府文書の提出を請求するなど調査は始まっているとし、証言者については、「私たちの任務を徹底的に行う上で必要な情報を提供できる最も適切な地位にいた人物となる」と指摘。「それにはもちろん、(イラク戦争にかかわる)決定にかかわった前首相やそのほかの高官も含まれる」と言明しました。

 英国はブッシュ前政権の米国とともに2003年3月の開戦時から参戦。しかし戦争の口実としてきた大量破壊兵器はイラクで見つからず、イラク侵攻を正当化するためにブレア政権は、情報をねつ造したとの批判が起きていました。

 米英とともに参戦したスペインのアスナール前首相についても、チルコット氏は「主要な国際的人物」と話し合う可能性を排除しませんでした。

 チルコット氏は、調査委員会は可能な限り調査の公開を求めており、調査の独立性は信頼できるものだと強調。一部の聴聞会については、テレビ放送やインターネットで中継し、国民が視聴できるようにする考えを示しました。

 聴聞会は当初、非公開とされる予定で、反戦団体や野党から非難の声があがりました。このため首相府は国の安全保障に抵触しない範囲内で聴聞会を公開にすることができるとしていました。

 チルコット氏はまた、イラク戦争で死亡した兵士の家族に、調査の優先順位について意見を求めるとも述べました。

 イラク戦争で死亡した英軍兵士の数は179人に達しています。(田中一郎)



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