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2009年7月31日(金)「しんぶん赤旗」

「バンキシャ」誤報で検証番組求める

BPO、日テレに勧告


 日本テレビ「真相報道バンキシャ!」(昨年11月23日放送)による岐阜県庁の裏金誤報問題を審理していた放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は30日、同局に対し検証番組の制作と局自身による検証結果を公表するよう勧告しました。同委員会が「勧告」を出すのは初めて。

 問題になった「バンキシャ!」は元建設会社役員の男の証言に基づき岐阜県の土木事務所が裏金づくりをしていると報道。しかし県の調査などで男の証言は虚偽だと判明。男は同県警に逮捕され、業務妨害などの罪で今月23日、岐阜地裁で有罪判決を受けました。

 同委員会は、裏金という重大なテーマを扱いながら、1週間の取材で放送することが求められた制作体制、幹部スタッフと現場スタッフの間に情報の交換と共有が欠落し、うそを見抜けなかったことを指摘しました。

 川端和治委員長(弁護士)は「社会的影響が大きい告発証言を扱っていたにもかかわらず、裏付けとなる取材が十分行われず、放送倫理違反の程度は重い。番組が犯罪行為の手段とされ、県の業務妨害の結果を引き起こした」と述べました。

 日本テレビは8月16日放送の同番組(後6・0)の中と深夜に検証番組を放送するとしています。


解説

繰り返される不祥事の背景

 BPOの放送倫理検証委員会が日本テレビに対して出した審理結果は、「勧告」という重いものでした。

 「バンキシャ!」は裏付け取材のないまま、もっぱら情報提供者の証言で突き進みました。勧告では「事実にこだわっていたら、放送することを思いとどまっていた」と指摘しています。

 外部スタッフ頼みで、短い制作日数。関西テレビ「あるある大事典」の番組ねつ造事件の構造と何ら変わりありません。なぜ、繰り返されるのか。テレビ局の無責任さの一端は、訂正放送(3月1日)にも現れています。日本テレビが被害者であるかのように釈明する内容で、誤りを生み出した背景の説明はありませんでした。

 不祥事が起こるたびに総務省がテレビ局を呼びつけて「厳重注意」するなど、報道・言論活動への介入も目立っています。記者会見で川端和治委員長は「放送界の自主・自律の動きがある間は、強大な行政権限を持つ所(総務省)は見守るべきだ」とのべています。(佐藤研二)


 BPO NHKと民放がつくる第三者機関。放送倫理検証委員会、放送人権委員会、青少年委員会の三つで構成しています。放送倫理検証委員会は、「あるある大事典」ねつ造事件を機に2007年5月発足。問題が起こったら独自に審理したり、テレビ局に検証番組や再発防止策の提出を求めることができるなど権限が強化されています。


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