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2009年7月29日(水)「しんぶん赤旗」

主張

財界要求

“金縛り”をまだ続けるのか


 間近に迫った総選挙で、自公政権が終わりを迎えるとの見通しが強まるなかで、これまで自民党に肩入れしてきた日本経団連や経済同友会など財界団体に、戸惑いが広がっているといわれます。日本経団連は企業献金の判断材料として発表してきた自民、民主両党の「政策評価」を、新政権発足後の11月に遅らすことを決めました。

 しかし、企業献金と引き換えに、財界の要求にこたえるよう求める姿勢自体は、変えようとしていません。財界・大企業いいなり政治の根を断ち切るには、企業献金そのものをやめるべきです。

政党を“査定”して献金

 日本経団連と経済同友会はこのほど相次いで恒例の夏季フォーラムや夏季セミナーを開きました。議論をまとめ、発表されたアピールは、相変わらず財界の身勝手な要求を満載しています。

 たとえば日本経団連がまとめた「アピール2009」は、「人的資源立国の実現」などといいながら、労働者を「使い捨て」のように切り捨てている大規模な雇用破壊への反省は一言もありません。「道州制」導入のための基本法制定や「消費税の引上げを含む税制抜本改革」などを迫り、国民への行政サービスを切り捨て、負担を国民に押し付ける立場を隠しません。

 経済同友会がまとめた「軽井沢アピール」も、小泉純一郎政権以来の福祉や教育を切り捨ててきた「構造改革が途(みち)半ば」だとして、総選挙後の政権でも「構造改革を一層推進しなければならない」と迫っています。

 財界は、こうした身勝手な要求を押し通すために、政府や各党に申し入れたり、公式・非公式の懇談などをおこなうほか、経済財政諮問会議や規制改革会議といった政権トップ直結の会合や、各省庁が設けている審議会への参加を通じて働きかけています。そのさい大きなてこになるのが、企業・団体からの献金です。

 かつては経団連があっせんして自民党などに100億円を超す献金をあっせんしていましたが、金権政治への批判を受けて中止し、2004年からは日本経団連が重視する政策を示して自民、民主両党を5段階に格付けし、各企業が献金額を決めるやり方に変わっています。政党の“通信簿”の公表で献金の基準をわかりやすくした半面、文字通り財界の要求にもとづく、丸ごとの政策買収、政党買収の性格が強まっています。

 総選挙を前に日本経団連が決めたのは、この「政策評価」の公表を新政権の発足後まで遅らせようということで、日本経団連が査定して行う献金そのものをやめようというものではありません。献金をてこに使って要求をのませようというのは、これまでと同じです。財界いいなりの政治をやめるためには、企業・団体献金を禁止することがいよいよ急務です。

財界にものいうには

 もともと主権者ではなく参政権も持たない企業が献金するのは営利のために見返りを期待するからで、企業献金は政治を金でゆがめるものです。政党の側も巨額のひも付き献金に頼っているようでは、財界にものをいうどころかものをいわれるだけです。

 財界による“金縛り”をやめさせるために、企業・団体献金をきっぱり拒否するかどうかが、いよいよ問われることになります。



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