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2009年7月14日(火)「しんぶん赤旗」

主張

「日米核密約」

全面公表し、破棄すべきだ


 河野太郎衆院外務委員長が元外務次官の村田良平氏に会い、日米の「核密約」があったことを確認し、「政府の虚偽答弁を認めない」と記者会見でのべています。

 村田氏ら元外務次官4人が「核密約」はあったと証言する一方で、元外務省高官が公開要求を逃れるため「核密約」の「関連文書が破棄されたと聞いた」とのべました。「核密約」の存在は米政府の解禁文書からみても明白です。政府が「密約」隠しを続け、文書を「破棄」するなどというごまかしを重ねるのは許されません。

「討論記録」は存在する

 中曽根弘文外相は「密約はない」という一方で、「外交文書は関連規則にのっとり適切に管理されている」と答弁しています(10日)。元外務次官が「核密約」はあったといっている以上、「ない」というだけではすまされません。「核密約」の存否は、外務省が管理している日米安保条約改定交渉の記録を公開すればはっきりすることです。関連文書を破棄せず管理しているというなら、政府はまずすべてを公開すべきです。

 もともと日米密約は、旧安保条約が保障した米軍の日本への核持ち込みをはじめ、理不尽な特権を現行安保条約下でも米軍に保障するために、米政府が日本に押し付けた取り決めです。安保改定時の密約の闇を白日のもとにさらすためには、改定交渉の全記録の公開がどうしても必要です。

 米側の解禁文書によれば、「日米核密約」は「(事前)協議方式に関する討論記録」の名前になっています。当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が署名した協定です。

 1966年に米国務省と国防総省が作成した報告書は、「密約」としたのは「日本政府がいかなる秘密取り決めの存在も否定できるようにするため」だと明記しています。日本政府が米政府公開文書や元外務次官らの証言にもかかわらず「密約はない」とくりかえすのはシナリオ通りです。

 関連文書を破棄したなどというなら、それはとんでもない隠ぺい工作です。核持ち込み容認の「討論記録」は、朝鮮半島有事のさいの米軍の自由出撃などとともに「日米安保条約を構成する文書群」のなかにあります。米側ではこれを国務省が「永久記録」として保管しています。文書を破棄したとしても「密約」そのものは残ることになります。「密約」にかかわるあらゆる記録を公開し、「密約」そのものを破棄すべきです。

 米政府はこの「密約」文書を米公文書公開法にもとづいてすでに一方的に秘密指定を解除しています。したがって日本政府が秘密扱いにする義務はすでになくなっているのです。政府が密約隠しを続ける理由はありません。

持ち込み策動許さない

 見過ごせないのは、「密約」公開の声を逆手にとり、核持ち込みを公然と認めようという動きです。元防衛庁長官の中谷元自民党安全保障調査会長は、「密約ではなく、国民の合意」で「領海通過や寄港は容認すべきだ」と政府に求めました。山崎拓元防衛庁長官も、「容認すべきだ」とのべています。日米軍事同盟絶対化で非核三原則を骨抜きにするものです。

 「日米核密約」を公開させた上で、破棄に追い込むことがいよいよ重要になっています。



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