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2009年7月13日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

町に活気 風力発電


 自然エネルギーを活用して、さまざまな取り組みが行われています。風力発電所で活気ある町づくりをしている北海道寿都(すっつ)町、太陽光発電所を通じ地域で地球温暖化防止を考える場づくりをしている大阪府東大阪市の保育園での取り組みを紹介します。


困った風 今は売電2億円

北海道・寿都町

地図

 自然エネルギーで得た電力を販売し、収益で活気ある町づくりをしている自治体があります。プルサーマル計画をすすめる北海道の泊原子力発電所と日本海を隔てた真向かいに位置し、風力発電所の巨大な風車が回る寿都町です。

■自治体では初

 「ブンブン」と風を切る音。回転する風車が5基並んでいます。その下で東野伸広副町長は「海岸線の風車はすっかり町のシンボルになりました。困りものだった風と、いまはいい付き合いをしています」と話します。

 海に面した寿都町には、太平洋側の噴火湾から狭い渓谷をぬけ、「寿都のだし風(陸地から海に向かって吹く風)」と呼ばれる強風が吹き抜けています。

 「風力発電は、漁業や農業に悪影響を与える風を町づくりに生かそうと役場と議会、住民が長年、真剣に取り組んできた結果です」と日本共産党の岡部武町議は指摘します。

 1989年に全国の自治体で初めて風力発電所を建設しました。灯油・重油などの燃料高騰が相次いだ時期、町立中学校の統合による新校舎建設で、暖房・照明用電源を供給するのが目的でした。

 町営温泉への電力供給を目的とした二つ目の発電所を経て、2003年には本格的に売電事業を目的とした「寿の都風力発電所」を、07年には「風太風力発電所」の運転を開始。現在9基の風車が稼働しています。

■医療奨学金も

 電力は一部を除いて電力会社に売り、昨年度で約2億3000万円の利益を町財政にもたらしました。それを漁場の整備、産業、教育、医療、環境の事業に活用しています。

 「都会の大病院にいなくても、町のバックアップで最先端の医療が学べます」と語るのは、町立診療所の若い医師。売電で得た収益を医療奨学資金をはじめ町民の健康づくりに生かした結果、診療所への信頼が高まっているといいます。

 日本共産党の花岡ユリ子、真下紀子両道議は5月、寿都町の風力発電を視察しました。町の担当者の説明を聞き、「電力買い取り価格を引き上げ、クリーンエネルギーの促進に努める自治体を応援すべきです」「蓄電設備への助成で環境にやさしいエネルギー政策を充実させることが必要です」と述べました。

 真下氏が6月24日の道議会で地球温暖化対策について「将来に責任を持つ高い温室効果ガス削減目標を設定せよ」と求めたのに対し、高橋はるみ知事は寿都町の風力発電を「先導的な事例と評価する」と答えました。(北海道・小泉健一郎)


保育園では太陽光発電

東大阪市

地図

 東大阪市のポッポ第2保育園(社会福祉法人鴻池ポッポ福祉会)は、子どもが安心して育っていける環境を守ろうと、市民の協力をえて太陽光発電所を設置しています。

 電気をつくる灰色の太陽光パネルを緑色の屋根に張った園舎。玄関のポッポおひさま発電所掲示板は太陽の恵みを描いた園児の絵や発電開始2006年からの発電量、温暖化原因のCO2(二酸化炭素)削減量などを掲示しています。発電量は約3万8千キロワット時、CO2削減量は約26トンです。

 ここで5日、保育園主催で「地域で考える地球温暖化2009」が開かれました。発電所建設、運営に尽くしてきた自然エネルギー市民の会が協力しました。環境について考え合う場として地域貢献することで始まった催しは、今年で3回目です。保育園の宮村恵事務長は「発電所を通じて地域の人たちと環境問題を考え学び合っています」と話します。

 来訪者は風力発電実験、風車工作、おもちゃのソーラーカーなどで自然エネルギーについて学びました。太陽光発電設備、太陽熱温水器の相談会や、地元の農地、環境保全の願いを込めた地場野菜の直売も行われました。

 「食卓と温暖化を考え合うフードマイレージ・お買い物ゲームを初めて企画しました」(宮村事務長)。CO2排出はマイカーで買い物に行き、遠くからトラックなどで輸送された食物は多くなり、地産地消なら少なくなります。CO2の少ない買い物をするため父母らが知恵を絞りました。3人の子育て中の多賀真規子さん(37)は「地場の野菜を買うと温暖化防止に役立つことをゲームで実感しました」と話していました。

 催しの感想を、岡喬子園長は「地域で環境問題について考え合う輪のひろがりを感じましたね」と述べました。自然エネルギー市民の会の大崎義治さん(61)は「政府の不十分な温暖化対策に対し、地域から声をあげる力になったと思います」と話していました。(栗山正隆)


共産党は脱“原発依存”

 日本共産党の政策から 「自然エネルギーの開発・利用を広げ、原発依存のエネルギー政策を転換します」。エネルギー問題は、地球の温暖化対策とも密接な関係があります。政府は原発の新増設を“頼みの綱”としていますが、原発は安全性に問題があり、原発に依存するのではなく、自然エネルギーの導入に本腰を入れるべきです。


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