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2009年7月8日(水)「しんぶん赤旗」

経済後退で貧困増加

国連報告 サミットの援助約束果たせ


 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は6日、ジュネーブで『ミレニアム開発目標(MDG)報告2009』を発表、世界的な経済後退の影響で今年新たに最大9000万人の人々が極度の貧困状態に転落すると警告しました。報告書は20余りの国連内外の機関・団体が共同でまとめたもの。

 潘事務総長は同日開幕した国連経済社会理事会閣僚級会合で演説し、世界的な経済、食料危機によってMDG8目標の達成への進展が鈍化していると指摘。国際援助の削減が飢餓と疾病を増加させているとして、富裕国と貧困国の双方に対し、貧困、飢餓削減への努力の強化を訴えました。

 報告は、08年の食料価格の高騰が20年来の飢餓減少の流れを逆転させたと指摘。発展途上国での貧困層削減への動きも鈍り、数千万人が失業するなど、一部の国では貧困削減の目標達成が困難になったとしています。

 1日1・25ドル(約120円)未満で生活する極端な貧困状態にある人々の数は、1990年の18億人から05年には14億人に減少しています。しかし報告によると、最近の経済後退の影響で、2009年には極端な貧困層の人口は5500万人〜9000万人増えると推定されます。

 また、適切な衛生施設を継続的に利用できない人々の割合を15年までに半減するという目標の達成には、今後14億人の人々に衛生施設の利用を図らなければならないと指摘。05年を期限としていた初等・中等教育での男女平等の実現は達成されていません。

 潘氏は、05年の英グレンイーグルズ・サミットでのアフリカへの援助増額の約束がいまだ果たされていないとして、「サミット参加のG8諸国が、国ごとにアフリカ援助増額の方策を打ち出すよう求める」と語りました。


 国連ミレニアム開発目標(MDG) 189カ国の代表が参加して2000年9月に開催された国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言に基づいて、それまでの国際会議などでの合意をまとめ、21世紀の国際社会の目標として制定されました。極度の貧困と飢餓を15年を期限として半減することなど、八つの目標と48の指標を定めています。


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