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2009年7月5日(日)「しんぶん赤旗」

アフガン

大規模作戦で米兵死傷

タリバン側 今までにない抵抗


 【カイロ=松本眞志】アフガニスタンでは、米軍を中心とする北大西洋条約機構(NATO)軍が2日から、南部の反政府組織タリバン支配地域に対する大規模軍事作戦を開始しました。6000人の米海兵隊と650人のアフガニスタン政府軍がNATO空軍の支援を受けてヘルマンド州の都市部に侵攻、3日までに米兵1人が死亡し、数人が負傷しました。

 今回の軍事作戦は、手詰まり状態にあるアフガニスタンでの「対テロ戦争」の戦局転換、今年8月20日に実施される大統領選挙でのタリバンの妨害の排除が目的とされます。作戦地域のヘルマンド州はアヘンの原料となるケシ栽培で知られ、その収入はタリバンの主要な資金源になっています。

 これまで6000人の英軍を主力とするNATO軍が「掃討」作戦を行ってきましたが、砂漠や山岳地帯という厳しい地理的条件などから十分な成果をあげられませんでした。

 オバマ米政権は戦局打開のために過去2カ月に米海兵隊員8500人をヘルマンド州に増派。アフガニスタン全体では、昨年末の3万2000人から今年末までに6万8000人に倍増する計画です。

 カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは現地取材にあたる記者の話として、今回の大規模軍事作戦について、タリバン側がいままでにない抵抗を示していると報じました。アフガニスタン調査・政策研究センターのハロウン・ミル氏は「NATO軍がある地域を確保しても、長期駐留はできず、再びタリバンが来てその地域を奪取する」と軍事作戦に疑問を投げかけています。

 一方、現地米軍高官やアフガニスタン政府軍の幹部らは、イラクでの教訓から「新しい戦略」を採用したと主張。兵員増派によって域内各地に小規模駐屯地を建設し、NATO軍と現地住民との接触の機会を増やして地域社会との協力関係を築き、タリバンと一般住民を離反させると説明しています。


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