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2009年7月4日(土)「しんぶん赤旗」

ナチス政権下の「国家反逆罪」

名誉回復へ新法

来月成立 左翼党、与党動かす

ドイツ議会


 ドイツ連立政権与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)は、第2次大戦下でナチス政権に「国家反逆者」との汚名を着せられた軍人や民間人を名誉回復する新法を8月末までに成立させる方針を確認しました。保守与党CDU・CSUのカウダー連邦議会(下院)議員団長が6月末明らかにしました。


 新法の目的は、ナチス時代に処刑された人も含め、脱走や国家反逆の罪名で有罪とされた人々全員の名誉回復。生存者や遺族などの声を受け、野党の左翼党がこの数年間、新法制定の動きを強めてきました。

 CDU・CSUが立法化に消極的で、拘束力のない下院決議に固執してきました。しかし左翼党が提出した法案に90年連合・緑の党が同調し、社民党議員60人も支持を表明。1日までに下院614議員の内、全政党にまたがる162議員が支持を明らかにしました。社民党も会派としての支持に傾き、CDU・CSUは最終的に政府としての法案提出を余儀なくされました。

 カウダー氏によると、政府案は社民党との与党内協議で数日内に起草され、9月の下院選挙の運動期間が始まる直前の8月26日の成立を目指します。政府法案提出で左翼党の法案は取り下げられます。

 歴史学者の調査・研究によると、ナチス軍事法廷は軍人、民間人約3万人に死刑を言い渡し、うち3分の2の人々が実際に処刑されました。ナチスは、脱走や反逆罪などの罪名を、政治的反対派やユダヤ人を虐待から守ろうとした人々を抹殺するために使いました。戦後歴代政府は東西分断時代を含め、補償問題などが生じることから名誉回復に消極的で、判決の多くは取り消されることがありませんでした。

 左翼党のコルテ議員は「戦後64年にしてやっと“連邦議会はもはやあなた方の父親や祖父を反逆者として扱っていない”とのメッセージを遺族に伝えられる時がきた」と政府法案提出を歓迎しました。(夏目雅至)


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