2009年7月1日(水)「しんぶん赤旗」

主張

原水爆禁止09年世界大会

核なき世界へ、運動の飛躍を


 広島・長崎への原爆投下から64年の原水爆禁止2009年世界大会が近づきました。

 最大の核保有国であり、核兵器廃絶の最悪の妨害者だったアメリカに、「核兵器のない世界」を国家目標にかかげる大統領が登場するなど、重要な変化が始まっています。今年の世界大会は、核兵器廃絶の実現へ、期待と決意がたかまるなかで開かれます。

核抑止否定と廃絶決断を

 オバマ米大統領はプラハでの演説(4月)で、世界の人びとに「核なき世界」への協力をよびかけました。日本共産党の志位和夫委員長は第8回中央委員会総会での報告で、核兵器廃絶への前向きの変化を促したのも、帰すうを決めるのも世界諸国民の力だと強調し、歴史的なたたかいの一翼をになう決意を表明しました。オバマ演説後のさまざまな動きをみても、核兵器廃絶へ確実に進ませるためには、運動のいっそうの発展が不可欠であることは明白です。

 米国防総省は最近、核戦略の基本文書「核態勢見直し(NPR)」の新報告を、年末までにまとめる作業に着手しました。同省高官などは、オバマ演説が新報告の枠組みになるとしつつ、同時に大統領は「核兵器のない世界」の実現までは「堅固で信頼できる核抑止を維持するとものべた」、同盟国に「核の傘」を提供し続けると、核抑止力維持を強調しています。

 日本国民にとって重大な問題は日本政府の態度です。麻生太郎首相も中曽根弘文外相も、相変わらず「日米安全保障体制の下における核抑止力を含む拡大抑止が重要」と、「核の傘」の維持をくりかえしています。このような実態についてマスメディアは「核なき世界 喜べない被爆国」と書き、日本政府高官がアメリカの核政策の専門家に「核の傘」が維持されなければ政策を見直さざるをえないと迫ったことを暴露しました。「被爆国政府に根付く抑止への強烈な信仰心が『変革』の波にあらがい、核廃絶の道程に立ちふさがる」と厳しく批判しています。

 「核の傘」維持の最大の根拠とするのが北朝鮮の核実験です。国際的な合意にも世界の流れにも逆行した、北朝鮮の行動はもちろん許されません。しかしそうした北朝鮮に核抑止力論で対抗するのではなく、核兵器廃絶、「核の傘」から離脱の断固とした決断を背景に、核開発の放棄を迫ることこそ、被爆国政府のとるべき態度です。

 世界では、核保有国イギリスや、アメリカの核兵器が配備されているドイツなどの支配層にも、核抑止力や「核の傘」を否定する声が広がり始めています。変化を押しとどめる被爆国政府の態度は、異様さが浮きたつばかりです。

草の根と世界を結んで

 原水爆禁止世界大会は半世紀余にわたり、国際的な反核運動をリードし、最近は各国政府・国連とも協力をひろげてきました。今日の世界の流れからも、日本政府の逆行ぶりからも、原水爆禁止運動の役割はいっそう重要です。

 いま世界大会に向け、全国で「核兵器のない世界を」国際署名や平和行進がとりくまれ、どこでも従来にもまして強い支持が寄せられています。この声を大きく結集し、世界大会の成功へ、さらに来年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議へとつなげていくことが求められます。



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