2009年6月23日(火)「しんぶん赤旗」

原爆症に2疾病追加

“条件付き”に被爆者批判

厚労省分科会


 原爆症認定基準の見直しをめぐり、厚生労働省の「原子爆弾被爆者医療分科会」(厚労相の諮問機関)は22日、積極的に認定する対象疾病に、甲状腺機能低下症と肝機能障害(慢性肝炎、肝硬変)を追加することを決めました。しかし、「放射線起因性が認められる」との認定条件を付けたことから、被爆者らは「認定が大幅に制限される可能性がある。原爆症認定集団訴訟の全面解決にはならない」と強い不満を表明しました。

 集団訴訟では、昨年4月からの現行基準の運用開始以後も、この2疾病をはじめ、積極認定ではない疾病が多く認められ、被爆者らは2疾病を無条件で積極認定に追加するよう求めていました。

 5月の大阪高裁、東京高裁の両判決で国が18連敗し、上告を断念したことから、厚労省は2疾病を追加せざるをえなくなりました。

 同省内で開いた分科会の会合で、会長の谷口英樹・日本赤十字社長崎原爆病院第1外科部長は「厳密な意味での科学的知見に合致しなくても、司法判断をある程度重く受け止めるべきだ」とのべる一方、「科学的知見について討議してきた分科会は尊重されるべきだ」としました。

 分科会後、記者会見した全国原告団の山本英典団長は「これではまだ裁判は続く」とのべ、日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳事務局長は「怒り心頭に発した。認定基準の抜本的な改善へと運動を大きくしたい」と語りました。



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