2009年6月21日(日)「しんぶん赤旗」

雇用保護へ共通政策

労働者守る防波堤に

南米4カ国


 南米南部共同市場(メルコスル)の原加盟国であるブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイの4カ国は、世界金融危機から域内の雇用を守るために共通政策をとることなどを盛り込んだ文書をまとめました。スイス・ジュネーブで開催中の国際労働機関(ILO)総会に出席した各国の労相が17日、調印しました。(島田峰隆)


 議長国パラグアイのガビラン法務・労働相は、メディアに対し、「金融危機から労働者を守る防波堤の構築」が目的と説明。企業に対する監督の強化やディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の促進を目指して、加盟国間の法律の共通化を図るといいます。

 ガビラン氏が具体的課題として挙げたのは、▽公的融資を活用する企業には雇用の維持を義務付ける▽インフラ整備の予算を増やし雇用増を図る▽国民の購買力を強めて域内経済の活力を維持する―の三つです。

 ILOのソマビア事務局長は、総会開幕にあたり、雇用創出と社会的保護を促進する「仕事にかんする世界協定」の採択を提案していました。ガビラン氏は、今回の協定は同提案に沿った内容で、「メルコスルはILOの呼びかけに基づいて具体的な行動を取った最初のグループだ」と強調しました。

 ILO総会で、中南米諸国の多くは、市場まかせの経済政策を放置していては雇用を守れないと主張しています。

 アルゼンチンのトマダ労働・雇用・社会保障相は17日の演説で、「中南米諸国は人間の顔を持った経済を望む。今日の社会的要求は、企業が雇用を守る努力を強めることだ。金融危機は絶対に(企業による)解雇を通じた調整の言い訳になってはならない」と指摘しました。


 南部共同市場(メルコスル) 関税同盟として1995年に発足。現加盟国はアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラ。準加盟国はチリ、ボリビア(正式加盟を表明)、ペルー、コロンビア、エクアドル。米国がすすめる米州自由貿易地域(FTAA)構想への反発が強まる中、エネルギー網の構築や社会分野の協力を含め、南米で地域統合の核として位置づけられるようになっています。


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