2009年6月16日(火)「しんぶん赤旗」

主張

出生率1.37

安心して子育てできる希望を


 先ごろ発表された昨年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子ども数の平均)は1・37で、最低だった2005年の1・26から3年連続の微増でした。しかし生まれた子ども数は横ばいの一方で死亡者数は最多となり、日本の人口は前年比5万1千人余減と過去最大の減少を記録しています。

 少子化と人口減少は、日本社会が活力を失い、「衰退傾向」にあることを示すものです。

世界でも異常な日本

 少子化はこの数十年来、先進諸国に共通する悩みでした。しかしフランスでは国をあげて解決にとりくみ、子育てと仕事の両立を支援するなかで、出生率を人口が維持できる水準に近い2・02(08年)まで回復させています。スウェーデン1・91、イギリス1・9なども同様です。その中で日本だけが低水準のまま推移し、先進国中最低になりました。背景にあるのは、世界では当たり前のルールがない日本社会の異常さです。

 ひとつは働き方のルールの問題です。ヨーロッパでは労働時間が短く、パートや派遣労働者への均等待遇、育児休業の充実などで、当たり前に子どもを産み育てながら働き続けられる環境を整備してきました。一方、日本では「派遣切り」や出産、育休での解雇が大問題になったように、労働者の生活と権利をまもるルールがきわめて不十分です。不安定な雇用、長時間労働、女性差別や出産すると働き続けられない職場では、結婚も出産も困難です。

 もう一つは子育ての経済的負担です。ヨーロッパ諸国では、児童手当を充実させ、高校や大学の学費が無料もしくは低額で教育費負担も軽く、保育の充実、幼児教育の無償化もすすんでいます。一方日本では、大学などの学費は世界一の高さ、子育て世帯の支援も弱く、子どもをもつ世帯の6割以上が「生活が苦しい」と答えています。また保育所不足も深刻で、東京や横浜市では待機児童が昨年の1・5倍に増加し、「保育園に入れない」の悲鳴があふれています。

 こうした日本社会の遅れが9割の国民が結婚して家庭をもつことを希望し、平均2人以上の子どもをと願っているにもかかわらず、その実現を阻んでいるのです。

 これを本気で打開して、国民の希望が実現できるようにするのが政治の責任です。ところが自公政府の新しい「少子化対策」の目玉は、3〜5歳対象で1回限りの「子ども版給付金」や、2年間だけの妊婦健診の助成拡大など、マスコミも「ばらまき」と批判するものです。しかも「消費税1%分を子育てに」(小渕優子少子化担当相)などと、少子化対策を消費税増税の口実にしようとしています。国民いじめの負担増と雇用破壊、福祉切り捨てを続けていては、事態をいっそう深刻にするだけです。

若い世代の願い実現へ

 少子化の問題には、大企業中心の自公政治のゆきづまりが集中的にあらわれています。

 日本共産党は、雇用問題でも、税金の使い方でも、財界・大企業にきっぱりものがいえる党です。安定した雇用、子育て支援や保育・教育充実など、若い世代の切実な願いの実現のため奮闘するとともに、安心して子どもを産み育てられる希望ある未来へ、「ルールある経済社会」をつくるために力をつくします。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp