2009年6月12日(金)「しんぶん赤旗」

建設業者の仕事とくらしをまもる

志位委員長の演説から(要旨)


 日本共産党の志位和夫委員長が、土建全都日本共産党後援会主催の演説会(10日)で訴えた中で、建設で働く仲間の願い実現の問題に触れた部分(要旨)は次の通りです。


「命の綱」=建設国保を守る

写真

(写真)演説する志位和夫委員長=10日、東京都中野区

 ここでみなさんの「命の綱」=建設国保の問題についてお話ししたいと思います。

 この建設国保を今後守り、良くしていくことは、みなさんの願いだと思います。そのためのポイントとして3点について、みなさんとともに力を合わせて取り組む決意を述べたいと思います。

建設国保への国の補助増額を

 一つ目は、医療費の窓口負担の問題です。いま国保でも健保でも3割負担になっているのは、2002年の小泉「構造改革」の際に、3割負担への「一元化」がはかられたためです。

 このときに長年にわたって、10割給付を守りつづけてきた建設国保も甚大な影響を受け、06年には10割給付の組合は残念ながらなくなってしまいました。

 しかし、そのもとでも、東京土建のみなさんは、医療費の窓口負担はいったん3割払いますが、通院の場合では5000円を超えた分を組合が払い戻すようにしています。入院費については、全額払い戻すようにしていると聞きました。

 これは本当に大事な宝です。みなさんの連帯の財産だと思います。仲間の連帯の力で窓口負担を軽減し、入院費は無料にする大方向を実践していることは、日本の未来を考えても大事なことです。日本の未来全体をそうしないといけません。私たちは、日本の医療全体の方向として、まず窓口負担の軽減をめざしますが、ゆくゆくはヨーロッパのように無料にすべきだと考えています。みなさん方は、その未来を先取りするたたかいをやっている。ぜひ誇りを持っていただきたい。

 そのうえでも国や都の補助はまだまだ足りません。建設国保が果たしている役割をしっかり認識させ、増額を勝ち取っていくためにみなさんとともにたたかう決意です。(大きな拍手)

後期高齢者医療制度の撤回を

 二つ目は、後期高齢者医療制度の問題です。

 この制度のおかげで、建設国保もひどい目に遭っています。建設国保からの75歳以上のお年寄りへの支援金、65歳から74歳までの前期高齢者への納付金がそれぞれ増え、そのしわよせが東京土建の組合員の保険料の引き上げにならざるを得なくなり、これを払いきれず、残念ながら土建を辞めざるをえない組合員もいると聞きました。

 後期高齢者医療制度をなくすというのは、お年寄りにとって大事なだけでなく、建設国保を守るうえでも大事になっています。建設国保にとっても、お年寄りにとっても、“不倶戴天(ふぐたいてん)の敵”が後期高齢者医療制度です(笑い、拍手)。何としてもみなさんといっしょに撤廃するためにがんばりたい。そのために共産党を伸ばしてほしい。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

「医療保険一元化」は絶対反対    

 三つ目は、後期高齢者医療制度の「見直し」の中で、自民党、公明党をはじめ民主党の中からも出ている「医療保険制度の一元化」の問題です。だいたい、自公民などが「一元化」といったら悪い方にそろえる「一元化」なのです。まずはあやしいと見てまちがいありません。(笑い)

 自公をはじめ民主もマニフェストに掲げ、財界が狙う医療民営化、企業負担の軽減、消費税の増税、これを一体にすすめようという動きが起きています。

 これは建設国保解体の道です。「医療保険一元化は絶対反対」(「そうだ」の声)、これでがんばり抜こうではありませんか。(大きな拍手)

建設で働く仲間の仕事をどうやって守るのか

 次にお話ししたいのは、中小企業・建設業者、建設で働く仲間の仕事と暮らしをどうやって守るのかについてです。

 大不況のもとで「月に数日しか仕事がない」「仕事が半分になった」「賃金や単価が一方的に切り下げられた」「生活できない」という職人さんや親方が増え、生活が困窮する中で自殺に追い込まれる話も聞いています。

 どうやってこの事態を打開したらいいのか。日本共産党は、三つの提案を掲げて、都議選と総選挙をたたかっていきたいと思っています。

公共事業政策の抜本的転換

 第一の提案は、公共事業政策を抜本的に変えることです。巨大開発型の無駄づかいはやめ、生活密着型、福祉型の公共事業に抜本的に切り替えようということです。

 この点では、いま都議選で大問題になっている「3環状道路」の建設は無駄づかいの最たるものです。なかでも東京外かく環状道路にかかる事業費は16キロを地上・地下で1兆8000億円。1メートル1億円以上です。

 こんな途方もないやり方にストップをかけ、そんなお金があるのであれば、福祉と医療、教育にまわせ、生活密着型福祉型の公共事業にこそ使え(「そうだ」の声、拍手)、このことを求めていきたい。(拍手)

 先日、都議団が具体的な政策を出しました。3年間で都営住宅3000戸、認可保育所150施設、特別養護老人ホーム100施設をつくろう。これで、のべ155万人の雇用が創出できます。

 さらに路面の補修サイクルの短縮、歩道整備などの予算を大幅に増やし、3年間でのべ93万人の雇用が創出できます。あわせて、のべ約250万人の雇用が増やせます。これをすすめるお金は東京都には十分あります。

 巨大トンネルを掘るお金は、鉄とセメントと大型機械に消えてしまいます。雇用には全然役に立ちません。しかし、保育所や特別養護老人ホームをつくる仕事は、マンパワーでやらなければならない。はるかに雇用効果があります。

 ただゼネコンなどに仕事が持っていかれ、地元の建設業者の仕事にならなかったら意味がありません。その歯止めまで行政はしっかり考える必要があります。

 中小企業向けの官公需の比率を少なくとも7割以上に上げる。これをきびしい基準として守らせる。分離分割発注を最大限にやって仕事がまわるようにする。

 「地域の仕事は地域の大工さんで」(「そうだ」の声、拍手)―これをスローガンにし、ともに力を合わせようではありませんか。(大きな拍手)

民需の拡大をはかる   

 第二の提案は、公共事業の転換と同時に民需の拡大をはかることです。公共事業だけでは、やはり仕事は足りません。

 その点では、民間住宅の耐震化、バリアフリー化に対する助成を思い切ってつける。それから住宅の省エネ・リフォーム助成制度、住宅用太陽光発電、風力発電への助成を拡充・創設する。つまり、官民一体になって、建設業で働く人たちにきちんと仕事がいくようにし、同時に福祉も住宅の条件も良くし、都民の生活全体を豊かにする方向で取り組むことが必要だと思います。

 こういう民需を拡大する上では、雇用の安定がどうしても必要です。社会保障の充実も必要です。この両輪をしっかりやってこそ、建設で働く仲間のみなさんの未来も開けてくるということを強調したいと思います。

大手ゼネコンから経営守るルールづくり

 第三の提案は、大手ゼネコンから建設業者の経営を守るためのルールづくりをしっかりおこなうということです。

 日本の建設業システムは、大手ゼネコンを頂点に重層的な下請け構造になっています。その下請け構造の中で、仕事が丸投げされ、低単価発注、工事代金支払いの先延ばし、踏み倒しがやられています。下請け業者にすべて犠牲を背負わせるようなやり方を野放しにしていいのか。大手の建設業者に建設業法にもとづく元請け責任をしっかり果たさせるルールをつくっていく必要があります。

 下請け企業への丸投げ、不正なブローカーは徹底的に排除する。下請け代金の未払いや、一方的な単価の買いたたきはやめさせる。これらは現行法でやれる話です。徹底的にこういう不正を建設の世界からなくそうではありませんか。(拍手)

 そのうえで、下請けのみなさんの保護と、建設労働者、建設職人さんの労働条件、賃金を保障するルールをつくる必要があります。

 二つ大事なことがあると思います。一つは、「公契約法」「公契約条例」をつくることです。つまり、適正な労働条件、適正な賃金で働けることを保障する法律、条例をちゃんとつくることです。もう一つは、労働協約をしっかりおこなうことです。この両方によって、建設で働くみなさんが、ただ同然のような働かされ方をされている事態を、この日本の社会から一掃するルールをつくろうではありませんか。(大きな拍手)



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