2009年6月12日(金)「しんぶん赤旗」

主張

憲法審査会規程

改憲手続法こそ廃止すべきだ


 自民、公明の与党が、改憲手続き法にもとづいて憲法改定の原案を審議できる、憲法審査会の規程の採決を強行しました。審査会を機能させ、改憲論議をスタートさせようとねらったものです。

 憲法に改定の規定があるのに手続き法がないのはおかしいと、改憲手続き法の制定を強行したのは2年前です。いままた手続き法が1年後に施行されるのに審査会の規程がないのはおかしいと、採決を強行しました。国民が憲法改定を望んでいるわけではありません。規程をつくるのではなく、改憲手続き法を廃止することこそ、国民の願いにかなっています。

国民は改憲望んでいない

 憲法が制定されてから60年あまり、改憲手続き法がなくても何の問題もなかったのは、憲法を変える必要がなかったからです。それなのに自分が首相の間に改憲を実現すると歴代内閣ではじめて改憲を公約し、改憲手続き法を強行したのが安倍晋三首相でした。しかし安倍首相の思惑も、改憲手続き法成立直後の参院選挙での惨敗でついえ去り、安倍首相自身政権を去ることになりました。

 その後就任した福田康夫首相も、現在の麻生太郎首相も、改憲を正面に掲げることができません。改憲手続き法ができても憲法審査会の規程がつくられずにきたのも、国民が改憲を望まないことが明らかだったからです。

 自民党が改憲策動の中心においたのは、憲法9条を改定し、自衛軍の保持や集団的自衛権の行使を盛り込み、海外での武力行使を可能にすることでした。しかし、イラクやアフガニスタンでのアメリカの戦争の破たんで、国際紛争を戦争ではなく平和的に解決することが世界の流れとなっています。日本の国際社会への貢献も、軍事力ではなく平和的外交的な手段でおこなうことが求められています。憲法9条を変えなければならないどころか、ますます重要です。

 国民の生存権や基本的人権を守る問題でも、憲法の値打ちは明らかです。深刻な貧困と格差の拡大、「派遣切り」など労働者の切り捨てのなかで、国民に健康で文化的な生存を保障する憲法25条や国民の勤労権を定めた27条、団結権を定めた28条などに注目が集まっています。憲法を変えるのではなく、まもり生かすことこそが、いよいよ求められています。

 そうしたときに憲法審査会の規程を強行し、改憲論議に踏み出そうとするのは、国民の願いにも、日本と世界の流れにも逆らうことにしかなりません。改憲手続き法そのものを廃止し、改憲策動をやめることが求められます。

憲法をまもる力を大きく

 改憲手続き法の制定も、憲法審査会規程の決定も、表向き反対した民主党が、実際には手を貸してきたことは重大です。改憲手続き法では採決直前まで自公と民主の合作でことは進められました。憲法審査会の規程についても民主党議員は「制定に反対だと申し上げたことはない」と主張しました。

 民主党の鳩山由紀夫代表自身、かつて発表した「新憲法試案」で自衛軍の保持や集団的自衛権の行使を認めていた改憲派です。

 国民の願いに反した自民・民主の悪政の競い合いを許さないことが重要です。日本共産党と国民が力を合わせ、憲法をまもる力を大きく伸ばすことが求められます。



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