2009年6月10日(水)「しんぶん赤旗」

衆院議運委

憲法審査会規程制定に対する

笠井議員の意見表明


 日本共産党の笠井亮議員が9日の衆院議院運営委員会で行った意見表明の大要は次の通りです。


 私は、2005年の総選挙後に設置された憲法調査特別委員会の委員、理事会メンバーとして1年半余、改憲手続き法の審議に加わってきました。その経過を改めて振り返り、憲法審査会規程をつくるべきでないと強く意見表明したいと思います。

 第一に、改憲手続きを整備するねらいが、9条改憲の条件づくりにほかならないからです。

 当時の法案提出者は、改憲手続き法は「公正・中立なルールづくり」であり、改憲の動きとは無関係だと言ってきました。しかし、05年秋、手続き法を作ろうとする政党が、相次いで9条を中心とする改憲案や改憲構想を発表しました。そのなかで自民党は、憲法9条2項を削除し、自衛軍の保持と集団的自衛権の行使を含む、海外での武力行使を可能とする規定を盛り込んだ改憲案を発表したのです。

 その後、安倍総理が、「自分の任期中の改憲をめざす」、「そのための手続き法だ」と言明し、「時代にそぐわない条文の典型は9条」とまでのべ、みずからの改憲スケジュールに沿って改憲手続き法を強行成立させたのです。何のため、誰のための手続き法であるかは明瞭(めいりょう)です。その安倍政権が、07年の参院選挙で、「改憲ノー」の国民の審判をうけ、政権投げ出し、退陣を余儀なくされたのは周知の通りです。

 今日にいたるまで、改憲勢力が主眼とする9条改憲を求める声は、どの世論調査でも一貫して少数であり、多数になったことは一度もないのです。

 第二に、改憲手続き法が、内容上も、不公正で反民主的なものとなっていることです。

 国の最高法規である憲法の改正は、主権者である国民の意思が最大限くみつくされることが必要不可欠です。ところが、手続き法は、投票率のいかんにかかわりなく国民投票が成立することになっています。有権者の2割台、1割台の賛成で改憲案が通る仕組みです。「少数の国民の意思しか示されない国民投票で、最高法規たる憲法を変えていいのか」。私は、この根本的な問題を繰り返しただしましたが、まともな答弁は返ってきませんでした。

 そのほかにも、公務員、教育者の自由な意見表明や国民投票運動を不当に制限していること、改憲案の広報や広告が改憲推進勢力に有利な仕組みになっているなど、この法律のもつ重大な問題が浮き彫りになりました。

 だからこそ、中央、地方の公聴会や参考人質疑、世論調査や新聞の社説でも、また日本弁護士連合会や憲法学界などからも、拙速を避け徹底審議を求める声が、法案への賛否を超えて圧倒的多数だったのです。にもかかわらず、審議不十分なまま強行成立させたことは、憲政史上に重大な汚点を残す結果となりました。改憲手続き法は、二重三重に非民主的な欠陥法だといわなければなりません。

 国会における改憲の動きは、1997年の憲法調査委員会設置推進議員連盟の設立以来、憲法調査会、憲法調査特別委員会と12年に及び、改憲勢力の周到な準備のもとに進められてきたかにみえます。しかし、いかに国会で改憲の機運を盛り上げようと狙っても、国民はそれをきっぱりと拒否してきた、これが私の実感です。

 「憲法に改正規定がありながら、手続き法がないのは立法不作為だ」といって、改憲手続き法を強行し、今度は、「手続き法が成立したのに、憲法審査会規程をつくらないのは違法だ」といいますが、いま国民が望んでいることは憲法改正ではありません。憲法審査会規程などつくる必要はないのです。衆議院として憲法審査会を始動させるのではなく、その根拠法である改憲手続き法を廃止することこそ、国民の要求です。



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