2009年6月10日(水)「しんぶん赤旗」

主張

企業献金禁止民主案

3年間もらい続ける不見識


 民主党が先週、企業・団体献金を3年後に禁止するなどの政治資金規正法の改正案を国会へ提出しました。不可解なのは、法案提出と同じ日に行った日本経団連との「政策を語る会」で同党の直嶋正行政調会長が、禁止するまでの3年間は「支援をお願いしたい」(「毎日」など)と、引き続き献金のあっせんを要請したことです。

 法改正を待たなくても、企業献金の受け取りをやめることはできます。そうしないのは、本気でやめる気がないからといわれても仕方がありません。

悪くないが禁止する?

 直嶋氏がその席で、「企業人のみなさんが政治について積極的に発言・提案することを否定するものではない」とのべ、企業献金についても「悪いからやめようという発想ではなく、ただ、この間の状況を見ると問題があるのは事実」(民主党ホームページ)などと発言したことも伝えられます。

 企業献金は「悪くない」が「禁止する」では、まったく筋が通りません。企業献金を禁止する法案を提出しながら、一方で企業が献金するのは「悪くない」と発言するのでは、主権者である国民と法案を審議する国会に対してきわめて無責任ということになります。

 もともと主権者は国民です。国民が政治について発言し、選挙で投票し、政党や政治家の活動を財政的に支えるのも、主権者としての権利にもとづくものです。

 企業はどんなに大きな社会的存在でも、主権者ではなく参政権を持ちません。企業の目的は営利、つまりもうけを増やすことです。その企業が献金するのは営利のために見返りを期待するからで、企業献金を認めれば、文字通り、金の力で政治がゆがめられます。

 実際、企業献金が「悪くない」どころか、政治をゆがめ、金権腐敗政治の温床となってきたからこそ、長年にわたってその規制が課題になってきたのではありませんか。政治家個人への企業献金や、国と契約がある企業の選挙資金の提供はすでに禁止されています。主権者でなく、参政権も持たない企業の献金は直ちに全面禁止すべきであり、日本共産党は繰り返しそのことを求め、実際にビタ一文の企業献金も受け取りません。

 だいたい民主党が今回、企業・団体献金を禁止する法案を提出することになったのも、小沢一郎前代表への「西松建設」からの違法献金事件で、国民の批判にさらされたからです。民主党は小沢氏をめぐる疑惑について、政党として解明し説明する責任を果たしていません。直嶋氏がいうように「問題がある」程度ですまされる問題ではありません。民主党が企業献金の禁止を求めるなら、これまで受け取ったことを反省し、国民に疑惑を説明すべきです。

腐れ縁を断ち切らねば

 企業・団体献金について麻生太郎首相や自民党は「企業献金は悪ではない」と開き直り、禁止する気はまったくありません。民主党が反省せず、法案提出後も受け取り続けるなら、そうした自民党を批判しきれないことになります。

 民主党が出席した日本経団連との会合そのものが、財界側が民主党の政策を査定し、今後の献金額を決める場です。企業献金の腐れ縁を断ち切らない限り、大企業にものは言われても、堂々とものを言う政党とはいえません。



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