2009年6月6日(土)「しんぶん赤旗」

男女の賃金格差 日本の異常くっきり

ILO報告書にみる


 日本の女性と男性の賃金の格差は深刻だと、国際機関から批判されていますが、開会中の国際労働機関(ILO)第98回総会に提出されている報告書でも、日本の実態を浮き彫りにするデータが示されています。

“30%以上は 世界で少数”

 報告書のタイトルは、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の中心にあるジェンダー(男女)平等」。そのなかで、国別の男女賃金格差の指標が世界地図入りで紹介されています。

 国際労働組合総連合(ITUC)が作成したものを紹介しています。これまで世界規模のデータはなく、ITUCによって、初めて、職業別男女間の平均賃金格差に関する世界的なデータ収集が試みられたとしています。

 日本の場合、男性の賃金を100とすると、女性はその66・6%しかなく、世界地図には、賃金の男女格差(100から66・6を引いた)33・4%が記載されています。

 この指標が大きいほど格差が大きいということになります。

 日本以外の“経済先進国”を見ると、カナダが27・5%、アメリカが22・4%、EU(欧州連合)が平均で15・9%、オーストラリアが14・1%となっています。

 「日本のように、男女の賃金格差が30%以上あるのは、世界では少ない。2年前の2007年のILO総会では、日本の男女賃金格差の問題が議論されました」と話すのはILO駐日代表の長谷川真一さん。

 日本は、同一価値労働同一賃金を定めたILO100号条約を批准しており、条約にもとづく格差是正が求められます。

 この総会では、同一価値労働に対する同一の報酬を、法律上も事実上も積極的に促進するようにという強い要請が、日本政府に対して行われました。

 08年3月にも、ILO条約勧告適用専門家委員会が、批判と勧告を出しています。世界の多くの国が平均して男性の賃金の7割から9割の水準にあり、格差は1〜2割程度です。さらに格差の是正をめざしています。

 長谷川さんは、「条約にもとづく同一賃金の徹底が求められています」と強調します。


08年の勧告

 08年3月に、ILO条約勧告適用専門家委員会から出された批判と勧告の内容は次の通りです。

 ●男女労働者の賃金格差が非常に大きい状態が放置されていること

 ●政府によるパートタイム労働法とその改正が、男女の賃金格差の削減に役立っているかどうか疑問があること

 ●日本には、同一価値労働同一報酬の原則を十分に反映した法律が存在しないこと、日本には、この原則に必要な、男女の職務や労働を、客観的要素にもとづいての比較が実施されているかどうか疑問があること

 ●委員会として、日本政府に対し、男女同一価値労働同一報酬の原則を規定するための法改正の措置をとることを求めること

 ●間接差別の排除についても、日本の現状には、政府の決めた指針の内容も含めて、大きな問題点があること

図

ILO第98回総会(2009年)報告書「ディーセント・ワークの中心にあるジェンダー平等」から作成。報告書掲載国中、ILO100号条約(同一価値労働同一賃金)未批准国を除いて作成。なお、アメリカは未批准国だが、除外せず。

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