2009年6月3日(水)「しんぶん赤旗」
国会会期延長問題
国民に信問えない自公
麻生内閣と自民・公明の与党は、2日の衆院本会議で55日間の会期延長議決を強行しました。
政府・与党が最重要課題とした補正予算の成立も強行したにもかかわらず、なぜ大幅な会期延長を強行するのか。そこには、補正予算関連法案と同時に、「海賊対処」派兵新法案と憲法審査会規程案という二つの重大な悪政強行の狙いが込められています。小此木八郎衆院議運委理事は、会期延長の賛成討論で「2年間も放置されてきた憲法審査会規程の制定についても一日も早く国会の意思を決定しなければならない」とあけすけにのべました。
悪政強行のための会期延長など断じて認められません。
同時に、大幅な会期延長を強行するのは、麻生・自公政権が解散・総選挙で国民に信を問うこともできない体たらくだからでもあります。
麻生首相が厚生労働省の2分割案を指示したにもかかわらず、厚労相・文科相が公然と異論をのべた結果、麻生首相は「最初からこだわっていない」と事実上撤回を迫られました。
党首討論で、西松建設からの違法献金問題が「国民の最大の関心事」と大見えを切ったのに、自民党の西松疑惑にはフタをしたまま。二階俊博経産相が「10年以上たつので調べようがない」と開き直ったのを容認し、企業・団体献金を正当化する姿勢さえ示しました。
世論調査でも、内閣支持率の低迷は相変わらずです。民主党の新体制発足後は、自民党自体の支持率が民主党を下回る傾向さえ出ています。
麻生首相はもともと、安倍・福田と二代続いた政権投げ出しのあと、解散・総選挙に打って出ることを使命に首相に就任したはずで、自らもそう断言していました。
ところが昨年秋以来、解散を先送りしても、なお総選挙に勝利する展望が見いだせない、国民に示す旗印も示せない、だから解散期日も定まらない―ここに麻生政権の現状があります。
しかし、国民生活の現状は、自公政権の解散先送り・もてあそびを許す余裕はありません。
輸出大企業の生産は上昇しても、雇用は過去最低の水準のまま。家計の消費支出も14カ月連続マイナスです。この経済危機をどう打開するのか、いま政治に鋭く問われています。
外交・安全保障でも自公政権は、海外派兵と米軍再編に日本国民の税金をつぎ込むことには熱心ですが、東アジアの平和と安定をどうするのか、核兵器廃絶など世界の流れにどう向き合うのかなどは、まったく示せていません。
いま求められているのは、こうした問題で本当の選択を国民の前に問うことです。その点からも、解散権をもてあそぶ自公政権の会期延長は許されません。(藤田健)

