2009年6月1日(月)「しんぶん赤旗」

温暖化対策 きょうから国連会議

中期目標 日本政府の議論

世界に通じず


 地球温暖化対策についての国連特別作業部会などの会議が1日からドイツのボンで始まります。政府は、2020年までの温室効果ガス排出の中期削減目標を6月中に決めるとしていますが、現在検討されている案は、前提条件が成立せず国際交渉で通用しない公算が大きいことが明らかになっています。中期目標を決定しないままで同会議に臨む日本政府は、ますます追い込まれた形です。


 1〜12日にボンで開かれる国連会議は、13年以降の温暖化対策の国際協定を年内に合意するための交渉の促進をめざすもの。各国の意見を集約した、新協定の交渉テキスト原案が初めて議論されます。交渉の焦点が先進国の温室効果ガス削減の中期目標です。

 政府は、中期目標の案として、1990年比「4%増」から「25%減」までの6つの選択肢を提示。京都議定書で課された12年までの目標(6%減)とほぼ同じ「7%減」案を軸に意見調整を進めているといわれます。

 選択肢の多くは「限界削減費用」という指標を用い、「公平性確保のため、省エネの進んだ日本は小幅の目標をもつが、欧米など他の国は大きな目標をもつべきだ」との一方的前提に立っています。

 ボン会議に向けたテキスト原案も公平性確保を重視しています。しかし、その指標としては、「歴史的な排出責任」「1人あたり排出動向」「単位GDP(国内総生産)あたり排出動向」など11項目を列挙。日本が主張する「限界削減費用」は、そのうち1項目に「限界経済費用」の表現で入っているだけです。

 「1人あたり排出量」では、日本はドイツ以外の欧州連合(EU)諸国を上回り、日本はEU主要国並みの大きな目標をもつ必要があります。「限界削減費用」のように、日本の目標のみが小さくてすむ指標だけが採用されることは、現実にはありえません。

 そのため、麻生太郎首相が中期目標を決定しても国際交渉で通用せず、見直しを迫られる可能性もあります。

グラフ


 限界削減費用 省エネが最も進み、温室ガスを1トン減らす費用が一番高い国でXドルかかる場合、Xドルまでの対策は各国がすべて実施することにより、負担を公平にするという考え方。単位あたり費用が一番高い国は、削減目標が低くてもよいことになります。



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