2009年5月29日(金)「しんぶん赤旗」

仏 核実験被害者に補償

政府が法案を提出

被ばく軍人・住民救済


 フランスのモラン国防相は二十七日、過去の同国による核実験の被害者に補償する法案を提出しました。初の核実験から四十九年、ようやく被害に苦しむ軍人や住民に国家賠償の道が開かれることになります。法案は七月の議会審議を経て、年内に成立・発効する予定です。(浅田信幸)


 フランスからの報道によるとモラン国防相は「痛苦に満ちたフランスの歴史のこの章に決着をつける」との期待を表明し、「補償は、被害の全面的な修復を保証するものでなければならない」とのべました。

 補償の対象となるのは、一九六〇年から九六年までに核実験場となったサハラ砂漠(現アルジェリア)と仏領ポリネシアで、軍人や技術者、労働者として実験に立ち会った人や実験場の近くにいた住民。“国家が認めた被ばくに起因する病気”にかかっていることが条件となります。

 判事と医師ら専門家で構成される補償委員会が申請に基づき審査し、勧告を国防相に提出します。審査では、被ばくと病気の関連を立証する責任が申請者にはなく、国の方が関連のないことを立証すべきだとしていることが大きな特徴です。

 政府関係者は補償される人数を「数百人」と推定。しかし被害者団体などは「数万人」に達するとしており、今後に問題を残すことになります。

 フランスは一九六〇―六七年にアルジェリアのサハラ砂漠で十七回、六六―九六年には仏領ポリネシアで百九十三回、計二百十回の大気圏内および地下核実験を実施。実験に立ち会った軍人や被ばくしたとみられる住民は十五万人に及びます。



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