2009年5月29日(金)「しんぶん赤旗」
P3C 初の海外派遣
ソマリア沖の「海賊対策」口実
違憲行為を全面展開
海賊対策を名目に東アフリカ・ソマリア沖で行われている海上自衛隊・護衛艦の活動に参加するため、海自のP3C哨戒機部隊が二十八日、ソマリア隣国のジブチ共和国にむけて出発しました。実際の任務でP3Cが海外に出動するのは初めて。周辺地域には陸海空自衛隊九百人が派兵され、「海賊対策」を口実に、憲法違反の海外派兵が全面的に展開されることになります。
浜田靖一防衛相が、海上警備行動に基づき十五日に派遣命令を出していました。二十八日午前、特別に編成された派遣海賊対処航空隊百人のうちの三十六人が、神奈川県綾瀬市の海自厚木基地からP3C二機で出動しました。残りの隊員は、チャーター機で現地に向かいます。六月上旬には、三月に派遣された護衛艦「さざなみ」「さみだれ」とともにソマリア沖アデン湾で活動を開始します。P3Cの任務は警戒・監視活動となっていますが、同機は攻撃能力も備えています。
派遣拠点は、ソマリアの西隣に位置するジブチ共和国の国際空港。昨年三月に新設され、ゲリラ戦にも対応できる陸上自衛隊・中央即応連隊の五十人も、初めての海外活動として同地でP3C部隊を警護する任務にあたります。
部隊の総勢は百五十人規模となります。これまですでに、アデン湾に護衛艦二隻(約四百人)と、インド洋に「対テロ」戦争への給油支援のため護衛艦、補給艦(約三百三十人)が派兵されています。
政府は、P3Cが得た情報を他国に提供することを明らかにしており、同海域で米軍が展開している軍事行動を支援することになります。
P3C哨戒機 潜水艦や水上艦を探知・監視する軍用機。爆弾、ミサイル、魚雷などの攻撃兵器も搭載可能で、1999年の能登半島沖不審船事件での海上警備行動では、警告のため150キロ爆弾を投下しました。
■関連キーワード