2009年5月27日(水)「しんぶん赤旗」

沖縄新基地 アセス準備書撤回迫る


ジュゴンを守れ 参院委で市田議員

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(写真)質問する市田忠義議員=26日、参院環境委

 日本共産党の市田忠義議員は二十六日の参院環境委員会で、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設について、「新基地建設ではなく、絶滅の危機にひんしているジュゴンの保護のため、辺野古地域全体の環境保全を図るべきだ」と環境省の姿勢をただしました。

 防衛省が公表している環境影響評価(アセスメント)の準備書は、NGO(非政府組織)のサンゴ礁調査や辺野古周辺でジュゴンを確認した二〇〇三年の環境省調査などを無視しています。一方、防衛省は予備調査で、ジュゴンがえさ場に入り込む通路にビデオカメラやソナー(水中音探査)などの機材を置き、ジュゴンを辺野古沿岸に近づきにくくし、「ジュゴンは辺野古には生息していない」と決め付けました。

 市田氏は「防衛省に都合のいいところだけが使われて、あとは無視されている。とても科学的な評価とはいえない」と批判しました。

 また、準備書には、前段階の方法書に記載されていなかったヘリパッド(離着陸帯)四カ所や軍港機能付きの護岸、汚水処理浄化槽、弾薬搭載エリアなどが新たに書き込まれました。市田氏は、沖縄タイムスの世論調査(十四日付)で、県民の八割がアセスに疑問を持っていることも挙げ、「重大なものが追加されたら、元に戻すのが当然だ」と準備書の撤回を強く迫りました。

 斉藤鉄夫環境相は「生物多様性で重要なところであり、(アセスについて)言うべきときに、厳正な環境影響評価を行って、きちんと言いたい」と答えました。


史上最悪で独善 説明会で前田県議

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(写真)追及する前田県議=26日、沖縄県議会

 沖縄県名護市の辺野古への米新基地建設問題をめぐって沖縄県議会は二十六日、沖縄防衛局長らを招き、環境影響評価(アセス)準備書に関する説明会を開催しました。与野党で各一時間の配分で質疑応答が交わされました。日本共産党から、嘉陽宗儀県議団長、前田政明県議団幹事長が質問に立ち、「史上最悪の独善アセスだ」(前田県議)として撤回を求めました。

 前田県議は、準備書が専門家の助言を受け、“現存するサンゴ類を可能な限り移植し保全に努める”とした点に対し、移植技術はまだ「未確立」とする日本サンゴ礁学会の見解を紹介。「専門家」とされる人の助言を受けながら、その氏名すら公表されない準備書のずさんさを告発しました。

 地元紙の世論調査で80%の県民が、防衛局の説明に「納得できない」とした結果にもふれ、「県民はもうだましの手口を見抜いている。あなた方にアセスを語るべき資格はなく、ただちに撤回すべきだ」と強く求めました。

 嘉陽県議は今後、米軍との調整のなかで準備書に記載されていない「新しい設備が“あと出し”で追加される可能性があるのか」と確認しました。防衛局担当者は「今後新しく出てくる施設がまったくないとは、今の段階で申し上げることはできない」として、これを否定しませんでした。

 ほかの野党議員からも新基地建設に「大義も正当性も見つけられない」など厳しい意見が噴出しました。



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