2009年5月25日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

仲間とてくてく


 自然に親しみながら気分を転換し、健康のためにも仲間と一緒に歩くのは楽しい―。年齢を問わず、ウオーキングや山登りをする人が広がっています。宮城県の仙台ウオーキングクラブと愛知県年金者組合のゆうゆう山楽会のとりくみを紹介します。


心と体をリフレッシュ

宮城・仙台ウオーキングクラブ  

 「“健康のため、体づくりのために”参加するようになった」「安く参加できるのも魅力」―仙台ウオーキングクラブの参加者の声です。クラブの始まりは一九九三年十月で、ウオーキングクラブとしては初めて新日本スポーツ連盟に加盟し、現在百二十人のクラブ員です。三分の二は六十歳以上の女性で、若い人の参加は大歓迎されています。

◆楽しい出会い

 行事は月一回、年間十二回です。五月十七日は、百八十一回目の行事で、新緑の高蔵寺と阿武隈(あぶくま)渓谷県立自然公園の不動尊キャンプ場周辺、沢尻棚田(宮城県丸森町)を六十七人で散策しました。

 参加者の一人、金子義孝さん(65)は「みなさんとの出会いも楽しく優先して参加している。今回は、素晴らしいロケーションで感動した」といいます。高蔵寺では、庭園を散策し、新緑とツツジが咲く景観に「初めて来たが、小雨に洗われる新緑の素晴らしさに感激」というのは佐々木のり子さん(65)です。

 愛敬院(あいきょういん)では、境内一面に咲く淡い紫色の花・ヒメシャガに「きれいねぇー。もう大満足」と感嘆の声。ヒメシャガの苗をもらった人たちは本当にうれしそうでした。

 田植えの終わったばかりの沢尻棚田では、管理者の佐藤春三さん(87)の話を聞きました。「パネルにある通り、江戸時代からここの人たちが田や荒れ地を耕し、石垣を積み現在の姿に整備したものです。私は、上海で終戦を迎え三升の米をもらって引き揚げてきました。その米が親に大変ありがたがられ、戦後の苦しい思いをへて田を耕し、育て上げてきました」との話に感涙する人も。

◆入念な下調べ

 毎年、アンケートで行き先を寄せてもらい、運営委員会で話し合います。コースが決まれば、入念な下調べです。自治体や観光協会などから資料を取り寄せ、運営委員会で分担して下見をし、安全な運営ができるよう心がけています。

 また、大きな集団がまとまってのウオークですから、先頭・中ごろ・最後尾とナビゲーターになる人が必要です。リーダーは、歩くコースを熟知していないと役割は果たせません。転んでケガやねんざすることなども想定し保険に入っています。看護師さんがいつも参加しているので心強いのです。

 日下貞子事務局長(65)は「自然に触れながら心と体のリフレッシュ、楽しく歩いてお友達の輪も広がり、励ましあいながら生きいきとウオークしています」と話しています。

 歩くときは、足元、周りに気を配ります。それが気持ちを集中させると同時に、リラックスさせ前向きにします。クラブでは、もっと多くの人たちにウオーキングの楽しさを広げていきたいと話し合っています。(仙台ウオーキングクラブ運営委員長・熊谷正治)

自然と親しみ政治談議も

愛知県年金者組合・ゆうゆう山楽会

 ゆうゆう山楽(さんがく)会は、愛知県年金者組合の県段階のサークルです。毎月、ハイキング、中高山の登山など数回取り組み、昨年度は一年間で二十六回実施、延べ五百二十人が参加しました。

 時には、帰りに温泉に寄り、「裸の付き合い」で疲れを癒やします。道の駅などでお買い物時間も設け、地元の直販品やお土産などを購入します。解散後、有志参加で恒例の反省会を持ち、口角あわを飛ばし、年金、介護保険、後期高齢者医療の話や政治談議になることもあります。

◆生きる目標に

 また、七十歳以上でも山に親しめるよう、ゴールデン・シルバーコースも設け、年に数回泊まりで高山のすそ野を散策する企画にも取り組み、「生きる目標」「生きがいになっている」と喜ばれています。

 昼食時や往復のマイクロバスの中で、感想を語り、笛やハーモニカ演奏、合唱、各種の訴え、署名の回覧もします。

 冬山は「会」としては登りませんが、一昨年から、二泊三日の「スノーシュー」をガイド付きで実施し好評です。宿で名古屋フィルの演奏会を楽しんだ時もありました。

 一九九二年六月、ゆうゆう山楽会は「山登りを通じて、足腰を鍛え、自然と親しみ、会員の連帯を深める」ことを目的に、年金生活者十四人で発足しました。現在会員は、約九十人で、六十五歳以上が60%以上、女性が60%、最高年齢は八十歳です。年金者組合各支部にも山登り、ハイキングの会などが多く誕生しています。

◆会報が自分史

 発足の翌年から発行している会報「ゆうゆう」(毎月二十ページ前後)は、参加者の感想文が必ず掲載されるのが特徴です。「会報は私の宝もの」「あとで読んでみると立派な自分史になっている」と言う会員もいます。

 この四月に発行された二百号記念号には「いつのまにか私も八十歳。『長老』などと言われる年になって、自分がびっくりしています。現役時代には山と付き合うことはなかったのに」、「八十歳になっても一千メートル級の山に登りたい」、「若いころには北アルプスにはよく出かけていた。一九九八年の夏山合宿で燕(つばくろ)岳などに初参加できた。久しぶりの三千メートル級は感慨深かった」「日本の山は、間伐もされず、荒れ放題のところが目立つ。スイスやニュージーランドとは大違い。平成の市町村大合併でさらにひどくなった」などの声が書かれています。

 年ごとに会員の高齢化が進み、いっそう、安心・安全登山の努力が求められています。長年「放浪記」を演ずる森光子さんに学び、屈伸運動や毎日散歩をするなど、人生これからが楽しみという人も増えています。(ゆうゆう山楽会会長・加藤孝夫)


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