2009年5月25日(月)「しんぶん赤旗」

自民 民主 議員定数の削減論議

民意反映する比例標的


 自民、民主両党が総選挙に向けた「マニフェスト(政権公約)」に国会議員の定数削減を盛り込もうとしています。「国会自ら血を流す姿勢が必要だ」(麻生太郎首相)、「税金の無駄をなくす」(鳩山由紀夫民主党代表)とのかけ声で狙っているものは―。


 民主党は先の代表選で鳩山代表、岡田克也幹事長がともに「衆院比例定数の八十削減」を打ち出しました。衆院総定数四百八十のうち定数三百の小選挙区はそのままで、百八十しかない比例代表の定数を一挙に八十も減らそうというものです。

 自民党は今月中にも党改革実行本部(本部長・武部勤元幹事長)が結論を出す予定ですが、「衆院定数を三百人以下とし、比例区を廃止し、参議院を合わせた総定数を四百人以下とする案が大勢」(太田誠一・元同本部長のブログ)。党内には「衆院定数の三百以下削減」をマニフェストに盛り込むよう求める議員連盟も発足しようとしています。

改悪に次ぐ改悪

 国会議員は、国会と国民を結ぶパイプです。それを大幅に削減することは民意を削ることになります。日本の国会議員数は一九九〇年代からの相次ぐ選挙制度改悪で減少の一途で、他の先進国と比較しても決して多くはありません。

 それだけに自民、民主両党が定数削減の標的を比例代表に定めているのは重大です。

 どんなに得票率が低くても最大得票数の候補者一人だけが当選する「大政党本位」の小選挙区制に対し、比例代表は、政党の得票に応じて議席を配分するもので、いまの選挙制度では唯一民意を正確に反映する部分となっているからです。

 民主党は衆院比例定数の八十削減案を二〇〇三年の総選挙マニフェストから掲げてきました。「政権選択が可能な選挙を実現するためには、小選挙区選挙をより重視」(〇七年参院選マニフェスト)するためで、菅直人代表代行は代表を務めた〇三年時に「将来的に単純小選挙区だけの定数三百もありうる」とまで表明。比例代表廃止を検討する自民党と同じです。

 比例代表の削減・廃止はいっそう民意を削ることになり、比例代表で議席を得ていた少数政党が締め出されるおそれがあります。自分たちの思惑のために人為的に選挙制度を変え、少数政党を追い出すのは最悪の党利党略です。

政党助成廃止を

 「税金の無駄をなくす」「自ら身を切る」というなら、毎年三百二十億円にのぼる税金を山分けする政党助成金こそきっぱり廃止すべきです。政党助成金制度実施(一九九五年)から今年分を含めた十五年間の自民党の配分総額は二千二百七十七億円、民主党は一千百九十億円にのぼります。



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