2009年5月19日(火)「しんぶん赤旗」

「過労うつ」労災認定

東京地裁 東芝の責任明確に


 長時間労働などでうつ病になったのに労働災害と認めないのは不当だとして大手電機、東芝の元女性社員が、埼玉・熊谷労基署の不支給処分の取り消しを求めていた裁判で、東京地裁民事三十六部(渡邉弘裁判長)は十八日、労働災害と認める判決を出しました。

 この社員に対する解雇を無効とした昨年四月の東京地裁判決に続いて東芝側の責任が問われる判決です。

 訴えていたのは技術職、重光由美さん(43)。埼玉県深谷市の同社工場で液晶プロジェクトに従事し、厳しいノルマのもとで、月百時間を超える残業や休日出勤が急増。うつ病となり〇一年九月から休業を余儀なくされ、〇四年九月、休職期間満了で解雇されました。

 東芝では成果主義で過重労働が広がり、精神疾患が増加。重光さんの職場でも同僚二人が自殺しましたが、熊谷労基署は労災と認めなかったため、〇七年七月提訴しました。

 渡邉裁判長は、「心理的負荷の大きい業務に従事し、厳しいスケジュールが課され、追い詰められた状況にあった」などとして、「精神障害を発症させるほど過重だった。業務以外に要因は認められない」とのべました。

 記者会見した重光さんは「東芝との裁判に続く勝訴でほっとしている。東芝は解雇を撤回し解決してほしい。国は労災申請しなければならない人が減るような対策をとってほしい」と語りました。

 川人博弁護士は「労災認定されたことで東芝が争い続ける理由はなくなった」と指摘。「労災申請が増えているのに認定は二割程度しかない。労災行政を改善していく上で意義は大きい」と語りました。



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