2009年5月17日(日)「しんぶん赤旗」

間違った理解させる

教科書シンポ 「補助教材」で議論


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(写真)「補助教材」の問題について議論した第18回教科書を考えるシンポジウム=16日、東京都豊島区

 新学習指導要領の前倒し実施に伴い今年度から小・中学校で使われている「補助教材」についてのシンポジウムが十六日、東京都内で開かれました。子どもと教科書全国ネット21などの呼び掛けによる「教科書を考えるシンポジウム」の第十八回として開催されたもので、教師や研究者、出版関係者など約四十人が参加しました。

 教育内容の基準を示した学習指導要領は昨年改定され、小学校では二〇一一年度、中学校では一二年度から完全実施になります。文部科学省は算数・数学と理科について今年度から新指導要領の内容で授業を行うよう指示。今の教科書にない内容を補うため各教科書会社に委託して補助教材を作製させました。

 数学教育協議会の市川良さんは算数の補助教材について、位どりも理解できていない子どもに難しい計算をさせるものになっていることなどを指摘。「これで本当に学力がつくのか」と述べました。

 科学教育研究協議会の高橋洋さんは、理科の補助教材に、子どもに間違った理解をさせてしまう内容がいくつもあることを明らかにしました。

 新英語教育研究会の阿原成光さんは、小学校での外国語活動用に文科省が発行した「英語ノート」について、難しいという印象だけを与え、英語嫌いを生むと批判しました。

 出版労連からは補助教材の作製過程について報告がありました。教科書会社が文科省から無理な作製スケジュールを押しつけられた上、「校正」という名目で事実上の「検閲」が行われ、一冊二十ページ程度の理科の補助教材に百カ所以上の修正が求められたことなどが明らかにされました。



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